5月30日、小笠原諸島・神奈川県・埼玉県で震度5を観測する地震が発生した。日本国内での震度5以上の地震の発生は5月の1ヵ月で実に4回目、今年に入ってからでは6回目となる。火山活動の活発化もあり、地震への不安は高まっている。一方で首都直下地震の発生確率予測が上昇したことなどを受け、5月26日には「地震保険料を2~3割値上げ」と報じられた。政府と損害保険会社各社が、来年秋以降に段階的に引き上げる方向で調整するという。そうなれば、家計への負担も馬鹿にならない。

地震保険には、果たして加入すべきか否か。そもそも、あなたの地震保険に対する知識は十分だろうか。損害保険に詳しいファイナンシャル・プランナーの平野敦之氏に、知っておくべき点や注意点を解説してもらった。(まとめ/ダイヤモンド・オンライン 河野拓郎)

「損害を全てカバーはできない」
意外と知らない!?地震保険の基礎知識

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 先日、地震保険料の値上げが報じられました。昨年7月に全国平均で15.5%の値上げを行ったばかりでもあり、実際どのような形になるかはまだ分かりませんが、早ければ2016年秋の新規契約分から適用するとされています。今年秋には火災保険料の改定も予定されており、これも結構な負担増になる可能性があります。その中で、地震保険の位置付けを、いま一度考える必要があります。

 重要なのは、まずその仕組みの基本を理解しておくことです。そうでないと、地震保険に入っても、いざというときに“当て外れ”となる可能性があるからです。“これだけしか支払われないの!?”といったことになりかねません。

ひらの・あつし
平野FP事務所代表。証券会社、損害保険会社等を経て1998年に独立。保険業界での実務経験を活かし、独立系のファイナンシャル・プランナーとして、リスク管理の側面から家計や企業の支援を行う。講演活動、執筆活動も積極的に展開。主な著書に『快適!マンションライフは保険で決まる』(住宅新報社、共著)。

 地震保険には、他の損害保険とは異なる特性があります。

 多くの方がご存じと思いますが、地震保険は単独では加入できず、火災保険に付帯して契約します。火災保険の特約(オプション)のようなイメージです。

 そして契約できる保険金額に限度があります。上限は、火災保険の30~50%(その範囲では任意に設定可能)で、最大でも建物5000万円、家財1000万円です。例えば火災保険の金額が2000万円なら、地震保険は600~1000万円、ということになります。

 支払いに関しても特有の仕組みとなっています。