「現在、業界は絶対的なドライバー不足に陥っていますが、その背景にあるのが『タクシードライバーの社会的評価が低い』という問題です。タクシードライバーは(選ぶとしても)“最後の仕事”というイメージを抜け出せずにいるのです」(田中氏)

 そこで同社はそんな常識をぶち壊そうと、約100の大学をまわり、採用拡大戦略に出た。5年前からは新卒採用を開始し、2010年は新卒入社が1人だけだったが、2013年には41人、2014年には116人、そして今年は108人が入社した。現在、同社社員の平均年齢は52.9歳だ。

ニオイ対策セミナーに参加するドライバー。写真は、30~40代のニオイと言われる「ミドル脂臭」のサンプルを嗅いでいる様子

 新入社員のうち26人が女性で、新卒に限らず、女性のドライバーも続々と増えている同社。現在、約300名の女性社員を2020年には1000人規模に拡大する予定だという。そこで、冒頭で紹介したように彼女たちからの「男性が乗った車内が臭い」というクレームにつながっているようだ。

 社員の年齢が若くなっていくことで、50代以降で本格化する加齢臭とは異なる、30~40代特有の古いアブラのようなニオイの体臭「ミドル脂臭」のするドライバーも多くなる。ミドル脂臭は枯れ葉のニオイに例えられる加齢臭よりも不快度が高く、しかもそのニオイは女性の方が2倍感じやすいと言われているから対策は急務だろう。そこで同社では、先に紹介した対策以外にも、この4月から外部講師を招いて、体臭に関するニオイ対策セミナーを行い、社員に受講を促しているという。

タクシー車内が爽やかになれば
業界全体のイメージアップへ

 密室での接客というサービス業でも顧客との距離が近いタクシー業界。シートの洗浄、社員自身への臭いチェック、独自で導入した消臭スプレーの活用などは、他のタクシー業界のみならず、あらゆるサービス業でも使えるヒントばかりと言っていい。

 こうした試みは、まだまだタクシー業界全体では広まっていないが、爽やかなタクシーが増えることによって、「社会的地位が低い」という見方がまだ残るタクシー業界全体へのイメージも変わるきっかけの1つになるかもしれない。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 林恭子)