アマゾンや楽天のみならず、セブン&アイやファーストリテイリングなど小売業も参戦しているネット通販。彼らが使用する最新鋭の大型物流施設が、首都圏で続々と建設されている。電機メーカーや自動車メーカーなどの工場跡地が、物流施設の受け皿だ。
あの巨大工場は今?
メーカー撤退の後に物流施設がやってくる
大型物流施設の開発ラッシュが続いている。不動産サービス大手・CBREによると、5000平方メートル以上の大型物流施設の累積面積は、10年前には200万平方メートルにも満たなかったが、2016年には1600万平方メートルを超える見込みだ。リーマンショック以降、建設ラッシュはいったん下火になったものの、13年頃から再び勢いに火がついている。
Photo:東洋経済/アフロ
物流施設の建設予定地として最有力なのが、実は電機メーカーや自動車メーカーなどの工場跡地だ。
財務省の法人企業統計によると、過去10年で特に売上高の落ち込みが激しい業種の1つが電気機械。売上高は2000年前後と比べると半分以下になった。
また、多くの業種で海外生産比率が高まっている。こうした背景から、閉鎖される工場がたくさんある。空いた広大な敷地を大型物流施設用に買っているのが、不動産ファンドなどの開発業者や、物流業者だ。
たとえば13年にオープンしたヤマト運輸の「羽田クロノゲート」。日本最大級の物流拠点として知られ、敷地面積は約10万平方メートルだ。ここは、荏原製作所の羽田工場跡地。売却当時は800億円を超える高値取引が話題となった。日産自動車の座間工場跡地には、外資系の物流不動産会社であるプロロジスが、やはり大型物流施設をつくった。
ほかにも、JVCケンウッドの横浜工場や住友軽金属工業の千葉製作所など、工場跡地が大型物流施設向けに買われた事例はいくつもある。