これまでの連載で、老後に向けた資産形成のために必要な情報やノウハウは一通りお話ししてきました。でも、知識はある程度身についたとしても、まだまだ行動できないオヤジたちが多いのではないでしょうか? そこで今回以降、オヤジたちが行動に移すためのきっかけとなる、背中を押すような情報についてお話ししていきたいと思います。まず今回は、その前提として、今のオヤジたちの老後の生活やお金に対するスタンスついて確認します。

意外に楽観的なオヤジたち 

 昨年、アライアンス・バーンスタイン株式会社では、確定拠出年金(以下、DC)の加入者(約5000人)を対象にDC制度の理解・関与の現状に関するアンケート調査を実施しました。ここから、オヤジたち(当調査では、50代以上の男性と定義)の老後や資産運用に対する平均像が明らかになりました。

 まず、高齢化が進む現代社会において何に不安を感じているのかを、オヤジ世代にヒアリングしてみました。その回答の上位3つは、(1)「老後の生活費や蓄え」、(2)「自分、親、配偶者の介護」、(3)「自分や家族の健康」となり、逆に下位三つは、(1)「地域コミュニティでうまくやっていけるか」、(2)「趣味、生きがいを見つけられるか」、(3)「65歳以降も働けるか」となりました。総じて、社会的活動に対する不安よりもお金や健康についての不安が高いことがわかりました。何をするにもまずは先立つものが必要、との意識が強いからでしょうか。実は、全世代平均のランキングもほぼ同様なのですが、若い男性や同世代の女性との差異に注目すると、興味深いことがわかってきます。

 若い男性で3位にランキングされている「社会保障制度のゆくえ」に関しては、前述のようにオヤジたちの上位三つには入っていません。これは、公的年金の減額が予定されていても、オヤジたちはまだ逃げ切れると思っているのかもしれません。一方で同世代の女性では「社会保障制度のゆくえ」が2位にランキングしており、同世代であっても公的年金額が低く寿命の長い女性のほうが公的年金の減額などをより深刻に捉えているようです。また「自分や家族の健康」「自分、親、配偶者の介護」に関しても50代女性のほうが大きな不安を感じていました。これらから見えてくるオヤジたちの平均像は、「老後の生活費や蓄え」に不安は持っているが、相対的には楽観的なスタンスだということです。