一つは作り手側の「生産量の問題」です。ランドセルとは、国産で職人さんが一つずつ手縫いで作り上げるような職人魂のこもった商品です。一定の生産期間が必要となるため、ある程度の余裕を持って受注しないと、4月の入学式までにお客様の手元に届けられません。そこで事前に注文を受け付けるようになり、メーカーのCMなども前倒しになってゆき、結果的にお客様も早めに商品を購入するようになってきました。これが早期化の一つの理由です。

 もう一つは早めの「囲い込み」を大手流通業者が開始したことです。ランドセルは1個購入してしまえば2個は買いません。早めに告知して早めに売場展開し、先に販売した者勝ちとも言えます。ですから大手流通業者が早めに売場を立ち上げて、販売攻勢をかけるようになったことがもう一つの理由です。

(2)品揃えの広がりと購入単価の高まり

 ランドセル市場を価格とデザイン性・機能性のポジショニングマップで整理すると以下のようになります。

筆者作成

 もともとランドセルが、それほどバラエティのあるアイテムでなかったのは周知の通りです。色は黒か赤で、素材はコードバンや牛革の高級ランドセルか、クラリーノの低価格ランドセルの2~3種類でした。ところが最近は、まるっきり様相が変わっています。

 まずA4クリアファイル、フラットファイルを学校で利用することが増えてきたので、従来のランドセルでは資料が入りづらくなりました。これによって、ランドセルのサイズは拡大化。サイズの変化に合わせて色やデザインもバラエティに富むようになり、今では数十色以上、デザインも数百種類はあるでしょう。

「パープル」に限定しても、こんなに選択肢がある
写真提供:ふくふくらんど

 メーカーによっては、ハートのキラキラやアクセサリーをつけたり、内張りの生地を選べたりなど、ランドセルをカスタマイズできる時代になってきました。ランドセルもここまできたかというほどデザイン性が高まっています。

 そして、アイテムのバリエーションが広がるのと同時に、ランドセルの購入単価も上がってきました。