そこで、日銀は経済と物価の見通しを示す「展望レポート」の公表を年2回から年4回に増やすという(月報は廃止)。また、政策委員の「主な意見」という文章が会合1週間後に公表される。

 その理由は次のように推測される。会合の議事要旨は中央銀行にとって重要な情報発信ツールだ。FRBは3週間後に発表している。しかし、日銀法では金融政策決定会合で承認しないと議事要旨を公表できないと定めている。よって、会合数を減らすと、その公表タイミングは今より遅くなってしまう。

 本来ならば日銀法を改正すべきだが、前述の政令変更と異なって、日銀法改正は大ごとだ。国会に改正を諮ると、インフレ目標や雇用の最大化などを日銀の使命に盛り込む動きも起きてしまい、日銀にとってやぶ蛇となる可能性がある。そこで改正は狙わず、「議事要旨の要旨」のような「主な意見」を公表することにしたのだろう。

 ところで、黒田東彦総裁は先日の講演で「ピーターパンの物語に『飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう』という言葉があります」と述べた。皆が量的質的金融緩和策の効果を信じれば、インフレ率は目標の2%に到達するという意味のようだ。

 そういった期待の効果を過度に重視する政策は危うさを内包している。国民に疑念を持たれないように、うまくいっていないときも「所期の効果を発揮しています。順調です」と言い続けなければならない宿命を負っているからだ。

 昨年10月の追加緩和策がサプライズになったのは、狙ったというより実はそこに原因があったと考えられる。会合の回数減少よりも、日銀の基本的な情報発信姿勢に筆者は不安を感じている。

(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)