服選びが苦手な人は
ディテールや機能にこだわりがち

大山旬(おおやま・しゅん)
パーソナルスタイリスト。アパレル勤務、転職アドバイザーを経て独立。「自信を高めるファッション」をモットーに、社会人向けのファッションコーディネートサービスを提供している。経営者、会社員、公務員、主婦、セカンドキャリア層から有名人まで、顧客は多岐に渡り、仕事でのイメージアップから婚活まで、さまざまな目的にあわせて、1000名以上のスタイリングを手がけてきた。自身も164cmという低身長のコンプレックスをファッションに助けてもらった経験から、さまざまな体型の悩みの解決にも取り組んでいる。「はなまるマーケット」「おはよう日本」「週刊SPA!」「日経トレンディ」などの、メディアへの出演も多数。2015年6月に初の著書となる『できれば服にお金と時間を使いたくないひとのための一生使える服選びの法則』を刊行した。

 先ほど例に挙げたように、私たちはついついわかりやすいデザインの特徴に魅力を感じてしまいがちです。目立った特徴のないプレーンなシャツよりも、デザインに工夫のあるように見えるシャツを選んでしまうものです。ですが、パッと見の印象は地味でも、本当によいシャツほど着たときに初めてわかるようなシルエットのよさを備えています。

 私のお客さまにシルエットのよいシャツを着てもらうと、「着ただけで痩せたように見える!」と驚かれる方が非常に多いです。それは、服から無駄な部分が削ぎ落とされ、身体にほどよくフィットするように作られているからなのです。洋服のデザインで大切なことは、装飾を施すことだけではなく、どんな体形の人でも美しく見せるように形作ることでもあります。ちゃんとしたデザインの服であれば、体形をすっきり見せてくれる効果があるのです。

 かといって「機能性」にも注意が必要です。機能性のみを重視すれば、ファッションはどんどんカジュアルな方向へ流れてしまいます。たとえば、街なかでよく見かけるのがスニーカーと革靴の中間のようなデザインの靴。

 たしかに、見た目は革靴っぽいのに歩きやすいという利便性があります。すぐに脱ぎ履きができるし、革靴と比べて履き心地がよいです。しかし、どっちつかずで中途半端な印象を与えてしまいます。履き心地を重視するのであれば、革靴のような見た目である必要はありません。

 たとえばニューバランスのように、大人のファッションに相性のよいスニーカーというのもあります。機能性ばかりを求めると、どうしても中途半端な見た目になってしまうので、むしろ思い切ってスニーカーを選んだほうがいいでしょう。もし革靴を履きたいのであれば、スエードのような足になじみやすい素材のシンプルな革靴を選びましょう。

 大人のファッションはカジュアル一辺倒になってもいけません。崩しすぎない適度な大人らしさを常に意識するようにしてみてください。

(続く)