国公立51大学と私立3大学の計54大学医学部医学科の偏差値と合格者数を基に、「医学部合格力」ランキングを作成し、現在、販売中の「ダイヤモンド・セレクト2015年8月号 中高一貫校・高校ランキング2016年版」でベスト100校を発表した。ここではベスト10を掲載している。俯瞰すると、西日本私学の中高一貫校の強さが際立つ。背景には、卒業生ネットワークや学校の強力な支援がある。
今年、東京大学の入学式で、新入生に将来の抱負を聞いた。「高齢化対策の仕事など社会に貢献できる職に就きたい」(理科II類、豊島岡女子学園卒)、「原子力発電所の事故は深刻。代替エネルギーの開発を研究したい」(理科I類、大阪星光学院卒)、「獣医になりたいが、まずは教養学部で勉強して視野を広げたい」(理科II類、千葉東卒)……皆、即答だ。
「東大など難関大学や医学部の合格にまず必要なのは、勉強に向かう確固たる動機」(神奈川県トップの進学校、聖光学院の工藤誠一校長)という言葉を裏付けるかのようだ。
最難関の東大理科III類(医学部系)に今年3人の合格者を出したように、医学部合格の実績が高い聖光学院では医学部志望の生徒のために、「なぜ医者なのか、医者の仕事とはどういうものなのかを明確にするために、医者になった卒業生に話をしてもらっている」(工藤校長)。
同校の約1万人の卒業生のうち医者は約860人。市民公開講座として「聖光医師同窓会」を開いていて、そこに生徒が参加する。今年6月の講座では、在宅医療の現場に引率された生徒がその経験を基に研究を発表した。また、「救急医療の現場を見学させてくれたりして、生半可な気持ちで医者を目指すことがないように指導してくれる」(工藤校長)。
医療現場を見て研究し
覚悟を固めて医学へ
合格実績を基に作成した医学部合格力ランキング(詳細はこの文章末の「ランキングの見方」参照)は、ショッキングだ。
ベスト10は全て私立の中高一貫校。公立はベスト20でも1校もなく、ベスト50まで見て8校、ベスト100で31校だ。公立高校を卒業して医学の道を進むことが、非常に狭き門になっている。