また、第十四回会議における談話のなかで、習近平は、党員たちに“改革の促進派”としてだけではなく、“改革の実幹家”になるよう求めている。“実幹家”とは、中国語で、机上の空論や言葉上の呼びかけにとどまらず、実際の政策や行動をもって、したたかに問題を解決し、状況を改善していける人間を指すと私は理解している。

習近平の“現在地”を探る
3つのインプリケーション

 共産党設立94周年にまつわる上記の記述を経て、最後に習近平による共産党政治の現在地を探る上で認識しておく必要があると思われるインプリケーションを、3つ提起したい。

 1つに、習近平の“共産党”建設そのものに対する執着と重視が改めてクローズアップされたことである。7月1日、習近平は国家測量地理情報局第一大地測量隊6名を表彰する談話の中で、「全国の広範な共産党員は終始一貫して、党において党を愛し、党において党のために働かなければならない」と主張している。習近平は、これからの国家運営や改革事業において、引き続き共産党によるリーダーシップや支配力を強調していくものと想定される。

 2つに、共産党設立94周年という節目に全国各地で一斉に実施された表彰大会の様子を俯瞰する限り、中国国内に散らばる党組織や党員たちの習近平に対する忠誠と従属は相当程度固まっており、共産党組織内で“造反者”が出るような可能性は低いことである。

 一方で、中国という国家を前進させるうえで率先して役割を担わなければならない共産党員たちが習近平というボスの存在に怯える恐怖政治の蔓延は、共産党政治がイデオロギー化し、恐怖政治下における役人の事なかれ主義も相まって、改革事業が停滞・遅延するリスクを内包しているように思われる。

 3つに、前述の“三厳三実”の意義にも体現されているように、習近平第一政権(2012~2017年)においては、引き続き反腐敗闘争とトップダウン型の改革事業という2つの分野が、習近平政治の両輪を形成していくように思われることである。その過程において、本連載でも議論してきたが、反腐敗闘争をいかにして政治運動から制度設計という範疇のなかに落とし込み、闘争がもたらす恐怖政治を徐々に、有効的にフェードアウトさせつつ、全国の党員たちの改革事業への意欲と積極性を促すかが重要事項であるように私には思われるし、習近平の「改革の促進派+実幹家たれ!」の発言にもあるように、党指導部もその点を認識しているだろう。

 特に、経済成長に陰りが見え、構造改革も一筋縄ではいかない現状下において、“両輪”のうちの後者をどこまで実質的に進められるかという問題は、中国共産党の正統性にも影響を与え得る、軽視できない変数だと言える。