上の例に挙げた方々には「恥」の感情がないわけではない。だが、それ以上に「自分の考えを相手に伝えることへの熱意」が強いのだ。カッコ悪くても、恥をかいても、今大切なことはコミュニケーションである、ということを瞬時に理解して、そして実践している。

 筆者が思うには、彼らはほとんど無意識にそれをやっている。チャレンジしている自分に気がついていない。実はそれこそが自分を伸ばすためのチャレンジだ。「恥」に打ち勝って、コミュニケーションに熱意を持てる人材は、確実に英語力を伸ばすことができる。

自分の思考をシンプルにすることで
限られた英語力でも伝わる

 もう一点、彼らの特徴は、英語でうまく話せないとき、「自分の考えを英語でどう表現するのか」を考えるよりも「今の英語力で話すには、自分の考えをどう表現すべきか」を考える傾向があることだ。

 会話をしている時点では、英語力の実力アップなどできない。その限界を認めたうえで、今の自分の実力でできる最善策を考えている。それが「自分の思考自体でできるだけシンプルにし、簡単な英語に置き換える」ことなのだ。筆者も米国留学時代に、この「日本語の表現を変える」大切さを痛感した。

 例えば、今すぐに英語で「おにぎりをつくる」と言ってみてほしい。ここで「ONIGIRI」という単語が出てくるようでは、日本語の表現を変える術はまだまだである。「おにぎり」という日本語に拘泥してしまい、もっと英語で言いやすい別の日本語にする発想がないからだ。

 もっとも簡単な解答は、“I make a rice ball by the hands.”あるいは、“I make a ball with rice.”といったものだ。実際には三角おにぎりなどがあるが、そういった表現が難しいと判断するならば、100%正確ではなくてもよいので、「米で作ったボール」という表現に変えるのだ。