イスラエル版スタートアップエコシステムの
2015年前半を振り返る
イスラエルでは、毎月80~100社、年間で800~1000社のハイテクスタートアップが設立される。2015年も半年が経過して振り返ると、今年設立され、公開されている企業だけでも、300程度はあり、公開されていない企業を加えると、今年も順調に、800~1000社設立されるだろう。
イスラエルでは、現存するスタートアップは6000社程度である。単純に統計だけをみると、7~10年程度ですべてのスタートアップが入れ替わる「多産多死」の環境で、新陳代謝が激しいのも特徴である。
このイスラエルで、スタートアップが次々できる仕組みを支えている大きな理由の1つが、スタートアップ企業の買収の多さである。すでに、2015年前半で買収された企業は、58(ただし、公開されている案件に限る)。新設される企業の10社に1社は買収されることになる。新規事業の成功確率は「20に1つ」と言われる世界で、10社に1つは、かなりの「高」確率であろう。買収が成立すれば、投資した資金が循環することになり、エコシステムを形成する。
2015年6月末時点、現地調査会社が発表したスタートアップ買収総額をみると52.9億ドル(約6400億円)(1ドル=122円換算、公開額に限る)。IPOが、6件3億ドル(約370億円)程度なので、スタートアップ企業の買収額だけを換算しても、6000億円もの金額が、投じられている。
過去2010~14年の5年間で買収された企業数をみても、80~100の範囲で推移している。年度ごとの買収総額は、凸凹はしているが、20億~90億ドルととても活発な状態を維持している。