なぜ、現地トップレベルのVCを巻き込めたのか?

 筆者がまず、驚いたことは、参加者である。カナンパートナーズ(Cannan Partners)、セコイアキャピタルイスラエル(Sequoia Capital Israel)、ルールベンチャーズ(lool Ventures)。日本の皆さんには、ほとんど聞き馴染みのないVCが並ぶが、こうしたVCは、現地ではトップレベル、しかも、パートナーレベルが何人も参加した。また、メディアでは、イスラエルのテッククランチと呼ばれるスタートアップでは大手メディア(GeekTime)を巻き込んでいた。

 ここ数年、イスラエル現地では、VCやグローバル企業が、スタートアップ支援の流れを加速している。レウミ (Leumi) 銀行といくつかのグローバル企業が共同で開始したSOSA。金融関連では、2013年、CitiBankを皮切りに、今年に入って、VISA、MasterCardなど金融技術を狙い続々とアクセラレータープログラムを始動、VISAは、R&D拠点も設立。既存のMicroSoft、Google、などもスタートアップ支援活動は継続的に活発であり、今月に入っても、インテルがアクセラレータープログラム開始を発表するなど、グローバルのトッププレーヤーが群雄割拠している。

 その中で、現地でトップとも言えるVCを複数巻き込めた理由は何か。デモデイの翌日にサムライインキュベート、榊原氏にインタビューをした。

「現地で一番評価を受けていることは、実は、コミュニティを醸成しているところ。今までは、『日本好きの集まり』という風に見られていたが、このデモデイで『潮目』が変わり現地での評価が高まったと確かな手応えを感じている」

 イスラエルでは、Google、MicroSoftといった企業でも公に起業家、エンジニアコミュニティの醸成を掲げるほど、スタートアップ支援は、現地では重要なことである。普通、異国の地で「コミュニティを醸成する」ことは一筋縄ではいかないだろうが、サムライインキュベートは日本で起業家コミュニティを醸成してきた経験がある。相手がイスラエル人であることは、さほどハードルにならなかったようである。

 すでに、デモデイでピッチした企業3社の増資が決まる方向で動いており、2014年3月、本連載第4回「日本のインキュベーターとして初進出!起業大国イスラエルへ イスラエルでサムライ旋風が起きる!?」でお伝えした通り、旋風になりつつある。