サッカー女子W杯の自国開催が日本を蘇らせる今や国家の威信を背負う女子サッカーの競技人口は、アメリカの約160万人に対して日本は約3万人。40倍の層の厚みを持つ強敵に挑むことは容易でない

与野党を超えて理解を広げよ
女子W杯は外交の舞台でもある

 こんにちは、鈴木寛です。

 7月5日(日本時間6日)に行われたサッカーの女子ワールドカップ決勝戦。連覇を期待されたなでしこジャパンは、アメリカ代表に2-5で敗れてしまいました。スコアでは完敗ですが、2大会連続で決勝進出し、しかもこの間、ロンドンオリンピックでも準優勝したことを考えれば、3大会連続で女子サッカーの頂点を争う段階にたどり着いたこと自体が快挙だと思います。

 私はドイツで行われた前回大会において、総理名代として現地に赴き、あの感動的な初優勝を見届ける機会にあずかりました。ご承知のように、あのときも相手はアメリカ。1-2のビハインドで迎えた延長後半終盤、宮間あや選手のコーナーキックから、澤穂希選手がボレーで同点弾を叩き込んだときは、鳥肌が立ったのを今も憶えています。

 神がかったプレーとは、まさにこれ。大震災の惨禍に見舞われた日本から、人知を超えた何かが彼女たちを後押ししているような気持ちになりました。

 今大会はサッカー協会理事として迎え、現地カナダで観戦するお話があったのですが、残念ながら公務優先で見送りました。映像で見る限り、決勝戦の会場は観客席の大半をアメリカのサポーターが占めており、日本側はなでしこもサポーターもアウェーの空気に呑み込まれたように見えました。いつもの力を出す前に機先を制され、寄り切られてしまいました。

 なお、アメリカからは、バイデン副大統領が決勝戦の会場があるバンクーバーに駆けつけていました。これは自国代表の応援という意味だけではありません。前回大会に私が派遣されたときは、メルケル首相やコール元首相、アメリカのクリントン元大統領の1人娘・チェルシーさんらと交流させてもらいました。日本国内ではあまり知られていませんが、ワールドカップはオリンピックと並んで、重要なスポーツ外交の舞台でもあるのです。