実社会の話に一瞬だけ立ち戻ると、昨今の人手不足経済で採用に苦戦し、育成にも苦心する中小企業が増えています。経営者の方を始め、世のリーダー、ディレクターの方々に佐々木采配から与えられる示唆は、初優勝を勝ち取った前回より、むしろ今回のワールドカップの方が多いのではないでしょうか。

“名将頼み”はもう限界に
W杯招致で真の総合力を付けよ

 さて、今回の女子ワールドカップが残した教訓が何か、決勝戦での敗因は何か、サッカー関係者だけでなく、メディアもサッカーを愛する日本人たちも冷静に現実を見つめて分析し、今後に生かしていかなければなりません。これが一番重要です。

 前回代表の丸山桂里奈選手がメディアの取材でも問題提起していましたが、女子サッカーの競技人口は、アメリカの約160万人に対して日本は約3万人。このことだけでも、何十倍の層の厚みを持つ強敵に挑むことは容易でないことがおわかりと思います。

 言うなれば、日本は後方支援が貧弱な現状で、佐々木監督のような名将の名采配と澤選手らの奮闘で、よくここまで結果を出しているのです。今後、日本では人口減少が加速していきますし、スポーツ界でも各競技の間で人材獲得競争が激化するのは必至です。アジア勢も中国を始め、巻き返しを図ってきます。日本国内の女子サッカー界の競技環境を充実させていなければ、世界でトップクラスの戦いを持続することは難しくなります。大相撲はすでに日本人横綱がいなくなって何年経ったでしょうか。

 男子代表が昨年のブラジル大会で力負けをした後にも連載で一部申し上げましたが、「祭り」が終わればテレビの露出が減り、にわかファンは離れていきます。勝ったら喜び、負けたら落胆という一喜一憂を繰り返しているだけでは、本当に「国力」としてのサッカーは発展していきません。