「あれも大事、これも大事」と悩むのではなく、「何が本質なのか?」を考え抜く。そして、本当に大切な1%に100%集中する。シンプルに考えなければ、何も成し遂げることはできない――。LINE(株)CEO退任後、ゼロから新事業「C CHANNEL」を立ち上げた森川亮氏は、何を考え、何をしてきたのか?本連載では、待望の初著作『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)から、森川氏の仕事術のエッセンスをご紹介します。
やる気のない人は「プロ失格」
部下のモチベーションを上げる──。
それが上司の重要な役割だと、よく言われます。
しかし、僕ははなはだ疑問です。なぜなら、企業はプロフェショナルを採用しているからです。会社や上司にモチベーションを上げてもらわなければならない人は、プロとして失格だと思うのです。むしろ、このようなことが常識のように語られるのは、社会全体が幼稚化している証拠ではないかと感じています。
自ら学ぼう、自ら行動しようという気持ちのない人が、責任ある仕事をできるはずがありませんし、ましてや新しいものを生み出すことなどできません。会社とは、やる気のある人たちが集まって、ときにはぶつかり合いながらも「いいもの」を世に送り出すのが本来の姿だと思うのです。
もちろん、情熱を注いでいる仕事で結果を出すことができず、プロジェクト・リーダーから外されたり、プロジェクトそのものが中止されたときなどには、誰だって一時的にはモチベーションが下がることはあるでしょう。
僕も、これまで会社にとって必要だと判断したときは、リーダーの降格やプロジェクトの中止を社員に伝えてきました。このようなときに、相手を納得させるテクニックなどありません。経営の「想い」を誠心誠意伝える。そして、新しいチャレンジをすることの重要性を本気で説く。そうして、社員たちと真摯に向きあう以外にありません。
それでも、彼らのモチベーションが失われるというのならば、それはやむを得ない。ビジネスは結果がすべて。社員のモチベーションに配慮するという理由で、結果が出ないプロジェクトを継続することはできません。結果を出せていないプロジェクトから外されただけでモチベーションが下がるというのは、そもそもその人は本当の意味でプロフェショナルではないと判断せざるをえない。厳しいようですが、それがビジネスの現実だと思います。