業績絶好調のスタバだが、ブルーボトルコーヒーなどのライバルを退けるだけの魅力を保っているだろうか?

 牛丼チェーンや日本マクドナルドなど、かつての外食勝ち組が苦戦するなか、ポジティブなニュースが続いている1社が、スターバックス・コーヒー・ジャパン(以下、スタバ)だ。

 売上高、営業利益は順調に成長基調を見せており過去最高益を更新中だ。2013年に国内で1000店舗に達し、今年5月には鳥取県に新店舗をオープン。全都道府県への出店も果たした。

 スタバが安定した業績を維持できる要因は、商品へのこだわりや店の雰囲気にあると考えられるが、「イノベーター理論」によっても裏付けされる。

 イノベーター理論によると、消費者層全体は商品購入の態度によって5段階に分類される。第1段階のイノベーター層(新しいものを進んで採用する人)に始まり、アーリーアダプター層(流行に敏感で、自ら情報収集する人、オピニオンリーダー的存在)、アーリーマジョリティ層(新しいことの採用には慎重な姿勢をとり、アーリーアダプターの情報を入手してから採用する人)、レイトマジョリティー層(周囲の大多数が採用しているのをみて初めて追随する人)、ラガード層(世の中の動きにあまり関心を示さず、最後までイノベーションを受け入れない人)という5つのグループがあり、商品はこれらの客層に購入されながら、社会に普及していくという。

 イノベーター層とアーリーアダプター層の顧客は「新しさ」を特に求めるタイプであり、誰よりも一番早く試すことが楽しい・かっこいいと思う傾向にある。そのため、この客層の獲得だけでは、商品は流行で終わってしまう可能性がある。アーリーマジョリティ層を獲得できると、この層は製品・サービスの良さを判断している顧客のため、支持が続きやすいそうだ。

 そのためのポイントの1つは、企業の理念やミッションを顧客が体現する状況を作り出すことと言われる。まさにスタバは、ここで成功できたと言える。

 スタバの理念とも言えるであろうミッション宣言は「感動体験を提供して、人々の日常に潤いを与えるために存在する」である。スタバが日本に進出した当時から通っているという男性客に話を聞くと「創業時は敷居が高く、顧客の年齢が比較的高かった。今では、子どもや学生からお年寄りまで幅広い層の客が集まっている」と話す。