一方、中国でのゴルフ場は「宅地開発とワンセット」になって中国各地で増殖した。住人の娯楽施設として住宅にゴルフ場を抱合せて販売する、いわばアメリカ式の開発スタイルをなぞるものでもある。

 デベロッパーにとってこのやり方は一種の抜け道で、2004年以来、開発許可が出ないゴルフ場開発を、「住宅開発の付帯施設」として抱合せることで、鎮(村に相当)政府からの許可を取り付けたのである。しかも、こうすることで、通常の住宅よりも高額で売りつけることができた。

 中国のデベロッパーは、不動産バブルに沸く北京や上海などを含む主に11の直轄市と省で、このような開発を行ってきた。ゴルフ場付きなら1戸当たり600万元で販売しても客がつく。一団の土地に300戸建てれば18億元の売上げになる。ゴルフ場という付加価値が、億単位の分譲価格を可能にし、デベロッパーに巨万の富をもたらした。

 前出のN氏はこう振り返る。

「私が北京に滞在した2000年代、ゴルフ場は街中にできました。ゴルフ場は別荘地を開発する不動産業者のいい材料にされました」

 北京には70のコースがあると上述したが、実は北京とその周辺にはゴルフ場が200ヵ所もあるとも言われている。「街中にできた」というこのコメントからは、違法建設の数が半端なものでないことが伺える。

 別の日本人も当時を次のように回想する。

「北京のゴルフ場は、役人への接待ゴルフが盛んに行われました。役人らは土地を欲しがるデベロッパーから巨額の金を握らされたのです」。もちろん、不動産会社による接待ゴルフだけではない。中国のゴルフ場は、官と民との“権力と金の交易所”になり果てた。

 他方、地方政府はGDP増、税収増、雇用増をもたらすゴルフ場開発を“禁令”だと知りつつ、歓迎した。内部に詳しい中国人は「業績向上は死活問題、毎年の数字を確保するためにゴルフ場開発を保護せざるを得ませんでした」と明かす。