日本列島各地で猛暑日が続き、「熱中症」「脱水症状」とみられる症状で病院に搬送される人が相次いでいる。
昨年のことであるが、筆者は「脱水症状」にまつわる苦い体験をしている。午前中から暑かったある日、朝遅くに起きて空腹感と軽い脱水状態を自覚した際、たまたま冷蔵庫にあった清涼飲料水をがぶ飲みし……5分くらい経ったところで、頭から血の気が引くような感覚と伴に、軽い吐き気に襲われた。いかにも血糖値が下がってしまったかのような症状であった。
仕事中や勉強中に水分補給をする際、それが空腹時である場合、人工甘味料では脳の栄養にならないことは割と広く知られているが、その後の研究では、実際に糖分を摂取・吸収して血糖値が上がったときだけでなく、味覚として甘みを感じただけでもインスリンの分泌が促されることが分かってきている。
糖尿病を抱えている人の中には、食事の30分前にインスリンを自己注射する必要のある人がいるが、その当人から聞いた話によると、注射したあとに何らかの急用で食事を摂れなくなってしまうと、低血糖症を起こして倒れてしまうことになるそうだ。
ひるがえって、筆者が陥った先の「症状」であるが、果たして、脱水・空腹時に(多量の)人工甘味料を摂取したことで、それ以上下げる必要のない血糖値をさらに下げてしまったわけである。
低血糖だけでなく低カリウムにも要注意
脱水気味になれば、水分だけでなくミネラル分を、とくにナトリウムとカリウムをバランスよく取り入れる必要がある。詳細はここではとても説明しきれないが、神経信号伝達にはナトリウムとカリウムの両方が必須である。また、自然食に比べて加工食品はナトリウムが多くカリウムが少ない傾向にあり、ヒトの腎臓はナトリウムを保持してカリウムを排泄する方向に働いているため、現代人一般に不足しやすいのはカリウムのほうである。
神経信号伝達に支障を来たすほどミネラル分が失われると、手足の筋肉に強張りや痙攣といった症状が出る。長時間運動を続けたりなどしたときに起こるあれだ。
今となっては笑い話にしかならないが、筆者が40代の頃、真夏に汗だくになって歩き回ったすぐ後に、駅のトイレ(和式)でしゃがんだところ、その数分後には膝から下が強張って立ち上がれなくなってしまったことがある。掴まるところがなければ、その時どうなっていたことか……。