今年7月からフジテレビ系で放送されているドラマ『探偵の探偵』。松岡圭祐の小説が原作だが、「探偵」という言葉で多くの人が連想するであろう、名推理で難事件を鮮やかに解決する探偵ではなく、悪徳探偵が跋扈する物語である。主人公である探偵も、合法・非合法を問わずにあらゆる手段を駆使し、身も心もズタボロになりながら、悪徳探偵や悪徳興信所をボコボコにしていく。社会的にも、物理的にも、だ。
「ここまで悪い業者、ほんとにいるのかな」と思いながら最新刊までしっかり読んでしまったのだが、現実に興信所に関するトラブルがいま、増加しているようだ。
独立行政法人国民生活センターの統計によると、消費生活相談窓口に寄せられた興信所に関する相談件数は、2013年度には1733件だった。それが2014年度には3196件と2倍近くになっており、今年度もそれを上回るペースで推移している。急増の原因は何なのか。国民生活センター相談情報部の遠藤陽介さんに話を聞いた。
「興信所」と気付かずに
被害にあうケースも多発
「そもそも興信所という業種が、どこからどこまでの業務を行うことが可能なのかを詳しく知っている人は多くありません。本来であれば興信所は『調査』までしかできないはずなのに、その先の『解決』まで可能というふうに、消費者が勘違いするようなサイトを作っているケースもしばしば見られます」
何らかのトラブルに巻き込まれた人が、消費生活相談窓口を探そうとネットで検索すると、そこで見つけるのが、興信所であったり、公的な窓口のように見せかけた業者のサイトであるというのだ。確かに検索をかけてみると、一番上位に表示されるのは、トラブル解決をうたう「非」公的なサイト。検索サービスでは、お金を払って広告を出しているサイトが一覧の上位に表示されることもある。「広告」と明示されてはいるが、慌てていたり、ネットを使い慣れていなければ、その事実を見落とす危険性もある。公的機関はそのサイトよりも下の検索結果に表示されているのだが、一番上位に掲載されているサイトにアクセスしてしまった被害者は、「相談無料」という文言にまんまと釣られてしまう可能性がある。