履歴書を熟読する手間を
惜しむ人事担当者たち

 次に、ジョブホッパーは、所属する会社に対するロイヤリティ(忠誠心)がないから、入社してもマネージしづらいだろうという懸念がある。私に言わせれば、この見解は、自社のマネジメントの自信のなさを表しているに過ぎない。そんな理由で、採用検討対象から外すとは、なんと自社内の都合で動いている会社か、なんと変革意思のない会社か、としか思えない。

 採用検討対象から外す前に、履歴書や職務経歴書を熟読し、短いながらもその会社でどの程度のコミットメントの度合いで、どの程度のパフォーマンスを果たしたかを確認すれば良い。その手間もかけられぬというのであれば、それほど、応募者が殺到しているのだろうか。そのような企業は、ごく一部の超優良・人気企業に限るのではないだろうか。にもかかわらず、採用検討対象から外すというのであれば、それは、人事部の手抜きとしか思えない。

 ジョブホッパーはキャリア形成ができていないという懸念もよく聞く。キャリア形成できているかどうかは、転職回数で決まるのであろうか。1つの会社で15年勤続していれば、キャリア形成できていると言えるのであろうか。私は正反対ではないかと思う。極端な例かもしれないが、1社でビジネスパーソンの生涯を終えた人たちの中で、直ちに、他の企業で通用する人がどの程度いるだろうか。そもそも、転職市場に出ることができずに1社に留まっている人々も少なからずいるだろう。

 私は、転職をしたことのない人々に対してネガティブな印象を持っているわけではない。勤続が長ければキャリアが築けているはずだという仮説が間違っており、勤続が長いこと(すなわち、転職回数が少ないこと)で採用検討対象を決めるべきではないということを申し上げたいのだ。

 何を隠そう、私自身、世間の定義にあてはめれば、ジョブホッパーである。30年近いビジネスパーソンとしての経験の中で、経験した会社は8社である。応募要件に転職回数が3回以内などと書かれている企業のポジションへ、それを承知で応募し、自動的に「残念ながら貴意に沿えません。今後のますますのご活躍をお祈りいたします」という“お祈りメール”を早々に受信したことも、何度もある。

 しかし転職する度に、トレーニングマネジャーから人材開発部長へ、人材開発部長から一法人の人事部長へ、一法人の人事部長から複数法人の人事部長へ、より規模の大きい企業の人事本部長へ、アジアをカバーする人事部長へと、短期でキャリアを上げ、最初の転職の際にターゲットしていた外資系企業の日本のヒューマンリソース担当ヘッドのポジションを実現し、さらに次のステップへ進み得たと自負している。