「ネガティブな気持ちを伝播させる」というマナー違反

 何度も言うが、子どもはところ構わず泣くし、人はミスをする。お年寄りはレジでもたつくし、外国に来ればテンションが上がる。なぜ、それを「仕方ない」と思えないのか。

 なかには、女性の香水や男性の加齢臭に不快な思いをしている人だっている。しかし、すべてに文句を言っても仕方がない。生活していると、いろんな“バグ”に遭遇することがある。みんなが寛容の精神で乗り切る努力をしないと、殺伐とした社会になってしまう。

 筆者は、マナー違反を放置すればいいと言っているわけではない。問題は、ネガティブな気持ちは人に伝播するということだ。「ネガティブな気持ちを伝播させる」というマナー違反をおかしていることに、なぜ気づいてくれないのか。筆者は、率直にそう感じるのである。

 Facebookが、ユーザーのフィードの内容を操作する実験をしたとして問題になったことがあった。それによると、ネガティブな投稿を表示されたユーザーは、自身でもネガティブな投稿をする傾向があったそうだ。

 また、予防医学研究者の石川善樹氏はcakesのインタビューで、愚痴ることは脳内でストレスフルな状況を再現していることになり、健康被害が起こる可能性があると指摘している。そして、「人間のネガティブ感情は、急速な勢いでまわりの人に伝播していきます。煙草の副流煙は、まわりの人に健康被害を及ぼすと知られていますけど、愚痴も同じくまわりの人にネガティブ感情をまき散らす可能性があります」とも。

 煙草の副流煙に例えられるくらい、ネガティブな感情は体に悪いのである。

 だから、もっとイライラを拡散する人に、私たちは文句を言っていいと思う。

 公共の場において、イライラしている雰囲気を撒き散らす、めんどい人々に言いたい。そのイライラに、イライラする人がいるということを。そして、「ネガティブな気持ちを伝播させる」というマナー違反について、もっと真剣に考えてもらいたいのである。

 当連載についてご意見がある方は、筆者のTwitterアカウントにご連絡いただきたい。全てに返信できないとは思うが、必ず目を通したいと思う。