世の中によく知られたあるサービスを「自分がつくった」と自称している人は100人はいると言われていて、私も実際に3人、そう言っている人と面談したことがあります。しかし私は実際にそのサービスをつくったプロジェクトのマネージャーを知っているので、彼らがそのプロジェクトに関わってはいても「自分がつくった」と言えるほどの立場にはないことはすぐわかりました。

 主導的な役割を果たしたわけでもプロジェクトの責任者でもなかったのに「自分がつくった」と言う人は、別に悪気があったわけではありません。もちろん自分を大きく見せるためにそう言っている人もいるかもしれませんが、よく話を聞いてみると重要な仕事はしていなくても当事者意識が圧倒的に高いため「自分がつくった」と本気で思い込んでいたのです。

 当事者意識が高いことはすばらしいことですし、企業にとってはありがたい存在です。しかし重要な役割は果たしていないのに「私はこんなプロジェクトを成功させた」などと面接の場で言っていたら、思い込みの激しい勘違いな人と判断されるかもしれません。プロの人事であれば、プロジェクトのなかでどんな役割を果たしていたのかは丸裸にされてしまいます。

 また、「運がよかった」という謙遜で成功の“反省”を怠ってはいけないのと同様に、「自分がつくった」という過剰な思い込みで成功の内実の客観的な把握と分析を怠るのは、再現性の獲得ができず自分の成長を阻害するという意味でも避けなければなりません。