必ずとは言い切れませんが、成功した経営者はハードワーカーである確率が相当高いように思います。そのハードワーカーを代表する1人が、日本電産の永守重信社長かもしれません。
休みは元旦の午前中だけ、年中無休で365日働く。創業以来、午前5時50分に起きて、6時50分に一番乗りで出社し、最低でも12時間働くとのこと。まさに仕事漬けの毎日です。「努力は人を裏切らない」という信念が成功に導いてくれたそうです。
しかし今、そんなハードワークが会社員にとって難しい時代になりました。以前なら永守社長のように長時間労働をする社員がたくさんいましたが、労務管理上、会社も本人も長時間労働を望むことが難しいからです。では、ハードワークは時代遅れな働き方になってしまったのでしょうか?今回は、ハードワークの是非について、みなさんと考えてみたいと思います。
「24時間戦えますか」
企業戦士が美徳だった1980年代
「仕事で高い成果を出したいなら、人よりたくさん働くべきである」
勤務時間の長いハードワークが当たり前であった1980年代までの職場。いまの会社でそんなことを言い出したら「時代遅れ」と弾糾されそうですが、会社のために働く「企業戦士」という言葉は自虐ではなく誇り高いものとして語られていました。学生時代は怠惰な生活をしていても、それはモラトリアムのようなもの。社会人になれば、会社の仕事に人生を捧げるのが美しい生き方と考えている人がたくさんいました。
それを象徴するのが、「24時間戦えますか」というキャッチコピーでおなじみのCMです。このCM、覚えている人はどれだけいるでしょうか?当時の三共(現・第一三共ヘルスケア)が発売する栄養ドリンク「リゲイン」のこのキャッチコピーは、バブル期の活力を象徴する存在でした。筆者も当時(1980年代)はリクルート社に勤務して長時間労働を厭わないワークスタイルで働いていました。終電なんて気にしない。会社は不夜城のように夜中も照明がつきっぱなし。そんな環境下では、どれだけ長く仕事をしたかで優秀かどうかが決まると思っていたのかもしれません。定時に帰る勇気がある人など、いなかった気がします。それが異常な状態だとは、全く気がつかない環境でした。