中国経済の先行き懸念が、新興国・商品相場を圧迫し、先進国の株式市場をも揺るがしている。こうした状況で、米国の利上げが間近との臆測も、市場の漠然とした不安を増幅させたようだ。しかし、中国は何とか経済の軟着陸を果たし、米国は堅調な景気を背景に恐る恐る利上げステップを踏むとのシナリオを変えていない。中国の株安や元切り下げでドル円が反落するなら、慎重に臨みつつも、結局は格好の買い場になろう。
中国当局者が、自らの財産・地位・政治生命すら危うくしかねない、経済の管理不能の事態を容認するとは想定されない。彼らは民主国ではなし得ない大胆策を行使できる。
元切り下げも、中国が苦境で追い込まれたと見なせば、不安も募ろう。しかし、元は「強いドル」にほぼ固定され続けた結果、割高感がにじみ出ていた。元切り下げは、中国の景気減速、貿易黒字減少、インフレ率低下の状況下、経済を「新常態」に導く一環として想定されていた。いたずらに不安視するより、中国のお手並みを経過観察する猶予が生じると考える。
ユーロ圏では、ギリシャの緊縮継続と債務支援でいったん合意したが、9月には同国で総選挙が行われることになり、きな臭さがくすぶる。しかし、相場テーマとしてはこれも経過観察中だ。中・欧とも様子見の猶予が生まれると、市場の関心は米経済指標と利上げに移り、ドル相場を支えよう。
ドル高トレンドはいつ・どの程度まで続くか。FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げを年内に開始し、2017年まで段階的に進めると想定する。この間は米国の景気、金利上昇が先行し、ドル高軌道を支えよう。