ギリシャ問題、中国の株価急落に見舞われてなお、ドル円相場は120円台で底堅さを保った。こうしたリスクオフ要因が現れると、円高だ、日本株も駄目だ、と過激にあおる論調が増える。しかし市場に出回る極論の十中八九は空論だ。ただ、大した問題にはなるまいと高を括ったまま危機的事態に陥るようでは「まぬけ」のそしりを免れまい。
この認識から、市場が一線を越えて急変する可能性、すなわちテールリスクを常時精査している。ギリシャと中国の問題では、過度の悲観を排除すべき理由が十分ある。ギリシャ問題は当初から、同国向けの民間債権の大半が整理済みであり、広く欧州のシステミックリスクにはなるまいと考えた。
中国の株価は10カ月で2倍半も上昇し、その上昇分の半分が一気に失われた。ただし、短命相場ゆえにマクロ経済的な禍根の広がりは限られ、中国市場の閉鎖性ゆえに海外投資家、金融機関への危機の急感染もなさそうと考えた。加えて、民主主義国では実現不可能なPKOも発動できる国である。しばし経過観察する猶予が生まれると判断した。