丸山 商売人は信用を無くしたら終わりです。とくに商圏が小さかった昔は一つ悪評が出たらおしまいだったので、評判を守ることにとても神経を使っていました。ただ、ネットの世界ではどんどんお客さんを替えられるので、焼き畑農業的な商売が広がったのかもしれません。一方で、ネットは悪評がすぐ広がるという側面もありますが。

機械に仕事を奪われないために今からやるべきこと秋山進さん(プリンシプル・コンサルティング・グループ代表取締役)

秋山 確かにネットではお客さんをどんどん替えられますが、最近はSNSも含め、評判のフィードバック回路が発達してきましたよね。すると信用を守ったほうが得になる時代に戻り、その意味でも商人的センスが求められるようになってくると思います。

丸山 ネットユーザーが情報の選択の仕方を学習し、賢くなってきた傾向もありますね。狭い商圏でやっていた時代のように、再び信用が何よりの価値になってきているのはおっしゃる通りだと思います。

秋山 商人的センスに関してもう一点付け加えると、「張る」能力が会社ではなかなか鍛えられない問題があります。張るというのは、何か新しいものを見つけてお金と人をどーんと投資することで、周囲から「こんなビジネスうまくいかない」とぼろくそに言われながらも頑張って結果を出したり、「これだけ手付金を払ったのに売れなかったらどうしよう……」とリスクを背負ったりする経験を実際にしないと身に付かない能力です。

丸山 当社で考えると現在のオフィスに移転したとき、1億円かかりました。売上が3億円のときですから、我ながらかなり張りました。

秋山 張る能力はオーナー経営者でないとなかなか身に付きません。ソフトバンクの孫正義社長はGoogleで最高事業責任者を務めたニケシュ・アローラ氏を165億円という破格の報酬で自社に招き入れました。グローバルマネジメントを導入することがその狙いと言われていますが、真の狙いは他にもあって、シリコンバレーのインナーサークルにいるアローラ氏が入社すれば、シリコンバレーで一番よい提携やM&A案件が、いの一番に持ち込まれるようになるからだと私は考えています。そうした案件を他社に取られたときの機会損失を考えたら165億円では済まず、何件かM&Aが成立すればすぐに元は取れる。そう考えて孫社長は「張った」のだと思います。

「効率的に働く風潮」は危険!?
そんな仕事ほどAIに置き換えられる!

丸山 いま「10年後になくなる仕事」といった議論が盛り上がっている背景には、AI(人工知能)の発達により多くの仕事がコンピューターに置き換えられるという懸念があります。

秋山 その流れで最初になくなる仕事は、人材紹介ではないですか。現在のマッチングレベルでいえば、AIのほうが賢いと断言できます。