企業の人事部門で重要テーマになっている「研修の内製化」。
6年ほど前から内製化に取り組むソフトバンクは、どのような考え方に基づき、プログラム開発を進めてきたのか。
連載第2回は、講師選定の方法について語ってもらった。
研修内製化で異なる文化を
融合するきっかけに
ソフトバンクが内製化をより推進していくきっかけについてお話しします。
私が所属していたソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクBBの3社は、当時、通信3社という枠で共に仕事をしていました。元々は別会社だったこともあり、それぞれ社風も異なっていました。
そこで、2007年に人事制度を統一すると同時に内製化のプログラムを通じて、管理職を中心とした3社のマネジメントの考え方や方向性の擦り合わせをしたり、お互いのマネジメント上の課題を共有しあうことが必要だという話になりました。そして、「これこそ内製でやるべき価値がある!」 ということで管理職のためのコーチング研修の内製化がスタートしました。
このコーチング研修では、人事総務統括の本部長が登壇し、異なる文化の融合が図られるとともに、本部長自身が経験されてきたマネジメントとコーチングの実践的なノウハウや経験が社員に共有され、大変満足度の高い研修になりました。これが、さらなる内製化にドライブがかかるきっかけとなったのです。
社内認定講師制度の
立ち上げ期に必要なこと
ソフトバンクの研修内製化が、人材の「多様性」を生かした社内講師選定を特徴としていることは、第1回で述べました。
この社内認定講師(ICI)制度の立ち上げ自体は、そこまで大きな苦労はなかったように思います。
上層部の承認を受ける際も、「まずは、やってみたらどうか」と、私たちのチャレンジを後押ししてくれました。
一番の不安は、社内講師の募集に対して本当に応募があるかどうかということでした。
また、昨日まで外部講師に教えてもらっていた社員のみなさんが、突如、社内講師が登壇することに対して、果たして本当に受け入れてもらえるものなのかという不安がありました。
私自身、内製化のスタート時に研修講師としても登壇することが決まっていましたので、その不安がより強かったのかもしれません。
しかし、初年度18コースを内製化するという目標も明確に定まっており、「とにかくチャレンジしよう!」とチームみんながとても前向きな気持ちで取り組みました。
内製化の最初のプログラムは、「明日から使える!プレゼンテーション研修」でした。この研修の開発では、社内で求められているプレゼンテーションや資料作成はどのようなものかをヒアリングするところからスタートしました。
実際の業務の中で上手くいったプレゼンや上手くいかなかったプレゼンを整理し、それらを上手くプログラムに反映させ実践的な研修にしました。
それでも、いざ、本番になっていると、果たして本当に社員のみなさんに受け入れられるのかなど相当な不安に駆られたのを今でも思い出します。
このようにして、内製化がスタートしたわけですが、ふたを開けてみると、想像以上に良い結果となりました。