日本は推定無罪の原則を持つ法治国家であるはずだ。

 だが、いまやそれは有名無実化している。実際は、検察官僚と司法記者クラブが横暴を奮う恐怖国家と化している。

 昨年3月に大久保秘書が逮捕されてからの10ヵ月間というもの、記者クラブメディアは検察からの情報ばかりに拠って、あたかも小沢幹事長が逮捕されるかのような報道を繰り返してきた。

 だが、結果は小沢幹事長の不起訴であった。当然に法的にはシロであるはずなのだが、それでも最強の権力集団である検察と排他的な記者クラブの複合体は諦めない。

 次に、国民からは道義的な責任を求める声が沸き起こっているとして、世論の後押しで小沢幹事長を辞任させようとしている。

 しかも、自らの捜査や取材の見込み違いを反省することなく、国民に自らの失敗の責任を押し付けようとしながらである。卑怯極まりない話なのだが、それは早速、不起訴直後の定例会見で証明された。

聞けばいいだけの
稚拙な「受け止め」質問

 記者クラブメディアの記者たちは、自社の世論調査の数字をもって、世論は続投を望んでいないとして、小沢幹事長に辞任の意思がないか、繰り返し尋ねたのである。

 なんという稚拙な質問だろう。一問だけならばまだしも、小沢幹事長に疑惑を追及するでもなしに、単にデータをぶつけるだけの質問である。そもそも、データや他者の発言をぶつけてその印象を聞き出す安易な質問ならば誰でもできる。

 「受け止め」質問。筆者が勝手に名づけたのだが、それはジャーナリストでなくとも、小学生ですらできる簡単なものである。取材もいらないし、頭脳も要らないし、もちろん少しの勇気も要らない。とにかく、聞けばいいだけの話だ。

 各社の世論調査によれば、朝日新聞が68%、毎日新聞が69%、読売新聞が74%の国民が「幹事長を辞任すべき」という結果になっているという。それを短い会見中、繰り返し質問するのだ。はっきり言って時間の無駄である。

 「それから、もう一つは世論調査ですけども、ここ1ヵ月以上にわたりまして、小沢一郎は、水谷はじめその他のところからの不正なお金を受け取っていると、けしからん人物であるというたぐいの皆さんの報道がずっと続きました。そしてその後の世論調査でございます。今度そのような不正はなかったということが結果として明らかになったわけでありますので、私の願いとしては、小沢一郎を不正な献金は受けとっていなかった、潔白であったという報道を同じように続けていただいて、その後に世論調査をしていただければそのときにコメントいたします」(2月8日、小沢幹事長定例会見)