仮想通貨に対するアメリカの金融機関の認識は大きく変化し、証券取引所や大手銀行が具体的な取り組みを始めている。
ビットコインという特定の仮想通貨を使うのではなく、その背後にある「ブロックチェーン技術」を、証券取引や銀行内部で使おうとしているのだ。
ビットコインそのものが現行通貨の代替物になるかどうかには疑問を抱く人が多いが、ブロックチェーン技術が金融取引を大きく変えることについては、金融関係者の間でほとんど異論がない。
「証券取引に革命を起こす」
ナスダックが導入する新しいシステム
ニューヨークタイムズ(2015年8月28日)は、ビットコイン技術に関する最近の動向を紹介する記事(NATHANIEL POPPERAUG, Bitcoin Technology Piques Interest on Wall St.)を掲載した。
ここで紹介されているいくつかの取り組みのうち、最も注目すべきは、ナスダックによるものだ。
ナスダックOMXは、非公開株式の取引にブロックチェーンを用いる技術をテスト中で、今年中に導入する予定だ。導入されれば、これまで長期間にわたって証券取引を支えてきたシステムを揺るがすことになると考えられている(ナスダックOMXは、アメリカのナスダック証券取引所や北欧の証券取引所を運営する会社。「ブロックチェーン」はビットコインの取引を記録する公開の台帳。詳しくは、拙著『仮想通貨革命』第1章、第2章、ダイヤモンド社、2014年を参照)。
この計画については、ナスダックが今年の6月24日に発表している。
サンフランシスコに本拠を置くビットコイン技術提供会社Chain.comがシステムを構築する。ナスダックは、この会社とパートナーシップを締結した。
ナスダックOMXグループは、「潜在的に多大な影響力を持ったこの新しい試みは、証券取引に革命を起こす」「ナスダックは、この新しい技術の世界的な中心になる」としている。