「これまで面接などで高学歴の求職者とそうでない求職者を見てきて感じることですが、高学歴の求職者の方が、基礎能力やモラルについては総じて高いです。しかし、高学歴でもそれを十分に活用できていない求職者に共通するのは、自己評価の低さ。彼らは自分が何かをなし得ると思っていないので、自分の未来を他人任せにしているように見えます。

 このような求職者は、採用されても職場に埋もれてしまうか、仕事のストレスで潰れてしまうかで、あまりいい結果にならない。もちろん、低学歴の求職者にもそのようなタイプはいます。『自分は低学歴だから、どうせ零細企業でしか採用されないし、出世できない』と卑屈になっているタイプ。しかし、低学歴であってもそれを言い訳にせず、自分の未来を諦めない求職者は、採用後も努力の成果を信じ続けるため、積極的にチャンスを掴んでいました」

 また、大手IT企業で人事を経験した男性は「中途採用の場合に学歴を見ることはほとんどない。転職が当たり前となった今、学歴より職歴がものを言うのは当たり前。ただし職歴だってあてにならないことも多い」と語る。

「即戦力を求めるベンチャー企業は特に中途採用に力を入れます。中途採用の現場では、『高学歴で輝かしい職歴の持ち主を期待して採用してみたら全く使えなかった』なんてことはざらにある。能力があったとしてもそれを活かせる順応性や、現場でしぶとく自分をアピールするハングリー精神など、ある意味泥臭い部分も重要。

 高学歴プア、低学歴リッチという状況がどのぐらいあてはまるかはわからないが、世間知らずでお高くとまった高学歴と自分から仕事を取りに行く低学歴の方だったら後者の方が求められるでしょうね。中途採用では学歴の部分はほとんど見ないし、私も一緒に働いていた同僚が高卒だったことをだいぶ経ってから知った経験もあります」

 若い世代ほど、ITを駆使して情報をつかむことが得意になっている。求人サイトも乱立し、多種多様な人材を企業にマッチングさせる。自分の強みをいくつか持ち、それを強くアピールすることができれば、一点突破できる可能性は意外に開かれているのではないか。逆に言えば、学歴があってもそれだけでは雇用のデッドヒートに勝ち残れない。

 プアになるか、リッチになるのかを左右するのは学歴ではなく、本来教育で身につけるべき正当な自己評価と、努力の成果を信じ続ける姿勢にあるのではないか。高学歴プア・低学歴リッチという言葉は、実体を伴わない学歴なるものではなく、各自がそれぞれの生き方をもって学習するという、教育の本質への問い掛けをはらんだ現代社会の課題であるともいえるだろう。