業種業態によって、最初に雇いたい人材のイメージはずいぶん違うだろう。経理+留守番からもしれない。営業アシスタントかもしれないし、Webデザイナーかもしれない。あるいはパートナーかもしれない。私の場合はスケジュール管理を中心とした業務を行ってもらう秘書だった。

 どのような場合であっても、人を雇うというのは、起業において越えるべき、最大の一線だ。なぜ、人を雇うのか? ぜひ人を雇うことの意義を考えてもらいたい。

 人を雇うのは、その方がより多くの利益が望めるからだ。だから、雇ったら、雇ったその人のコスト以上に売上が伸びるという確証がない限りは絶対雇ってはいけない。私の反省は、自分の仕事が楽になるだろうという理由で人を雇ってしまったことだ。それは一番いけないことだ。しかも、楽にすらならない。かえって手間が増えてしまうことのほうが多い。

 これだったら自分でやったほうが早かったとか、手戻りが多いという事態だ。あるいは、本当に優秀な人間であれば、給与も高く要求されるのは当然だ。それほど優秀でない人間も、それなりの給与を要求してくるものだ。

 人を雇えば、交通費も支給する必要があるし、社会保険費や税金の支払いも発生する。雇用保険も必要になる。

 たとえば一人の社員を月給20万円で雇うとする。この場合、会社のコストは20万円ではすまない。だいたい、その5割増しから6割増しでコストが掛かってくる。20万円の場合、どう安く見積もっても30万円から35万円は払うつもりでいないといけない。それだけのコストを払っているのに、働いている本人は20万しかもらっていないと認識していて、そのくらいの感謝しかしない。今までのあなたと同じだ。その時点で初めて、大企業が払っている給与が、いかに太っ腹かがわかってくる。

 さらに人を雇うとなると、よほど自宅が広くない限り、いよいよ事務所を借りるということになる。私の場合もそうだった。最初は知り合いの会社に間借りしたのだが、早々に自分のオフィスを借りることにした。その結果、人件費だけでなく不動産費も自分の双肩にのしかかってくる。重い決断なのだ。

 人を雇うのは(たとえ雇用し続ける責任を考えないとしても)、純粋に経済的に見て、大変重い決断をするということなのだ。