今や、ゼロから提案書を作る、などということはほとんど誰もしない時代だから、何かの資料をベースにいろんな情報を付加して充実させていくのが仕事の文法となっている。外部に出す文書や提案書の中に、誰かのネット上の文章やブログの画像、お客様の社内文書のコピー、「ここだけの話」など、本来そこにあってはいけないものがいつの間にか紛れ込んでいる可能性は否定できない。自信をもって「うちは大丈夫!」と言える会社はめったにないと思う。

 もちろん、シェアする本人たちに「悪用してやろう」という気持ちは少ないだろう。どちらかといえば、情報を共有することで「お互いに学んでいこう」「もっとよくしていこう」という前向きな気持ちでいるはずだ。とはいえ、きちんとプロフェッショナル倫理や情報のハンドリングの方法を教わらないまま「シェア文化」を容認している会社に対しては不安を禁じ得ない。「シェア文化」と「パクリ文化」は本来まったく違うものだが、現象面では容易に「パクリ文化」に堕ちてしまう可能性が高いのだ。

 近年、自社の枠を超えて新たな市場を開拓する「オープンイノベーション」という考え方が広まっている。これはとても良いことだと思うが、現在の情報管理の意識と知識のレベルで、その流れが進んでいってもよいのだろうか。共有されてはいけない情報が会社を超えてどんどんシェアされ、気が付けば、社会がコピペとパクリであふれ返ってしまうのではないだろうか。私としては、残念ながら、かなり悲観的にならざるを得ないのである。

(構成/大高志帆)

※なお、本記事は守秘義務の観点から事案の内容や設定の一部を改変させていただいているところがあります。