「楽曲」と「音源」の違いを
説明できますか?
本書ではもう一点、間違えやすい言葉を知りました。「楽曲」と「音源」です。楽曲は作品そのもので、楽譜と歌詞に現われます。音源は演奏された記録でしょう。これもなんとなく同じようなものだと思っていました。著者はこう説明します。
『イエスタデイ』は、世界的に有名な楽曲です。ジョン・レノンとポール・マッカートニーによって創作されました。最も代表的な音源はポール・マッカートニーのソロ・ボーカルによるものですが、この楽曲をいったいどれだけのミュージシャンが演奏し、どれだけのシンガーが歌ったことでしょう。そして、どれだけの録音が行われたことでしょう。音源はひとつひとつすべて違います。「ひとつの楽曲から、無数の音源」が製作されているのです。(18ページ)
なるほど。非常にわかりやすい説明です。
本書は体系的に音楽の著作権ビジネスをまとめたもので、クリエイティブの現場にいるビジネスマンには必携の書物です。
評者は本書を紹介するにあたり、著作権法の学習のために『著作権判例百選 第4版』(ジュリスト別冊、有斐閣)を購入しました。ところが、9月10日付の「朝日新聞」によると、第4版の編者の1人が発売前の第5版から外され、「編集著作権の侵害」だとして訴えているというのです。出版社側は訴えた学者は編者であっても編集著作者ではなかったとしています。
うーむ。やはり著作権はやっかいです。このニュースは「朝日新聞」だけに出ていました。評者は内容を3行にまとめましたが、これは著作権侵害じゃないですよね?