朴氏は、党首と地方自治体のトップという格の違いから一旦は断るが、「次の国家主席に最有力の人物」と聞き、昼食会を準備してもてなした。それ以来、両者はセマウル運動に限らず、北朝鮮問題をはじめ、朝鮮半島情勢などについても意見を交わせる仲となり、今では毎年、誕生日などを祝う便りを交わしている。したがって、習主席にとって朴大統領の式典への参加は、「友、遠方より来る」思いであった。

 朴大統領の式典への出席の背景には、始めから本人の強い意志があった。北朝鮮との平和統一外交に強い意欲を示し南北外交を進めていくには、朝鮮半島に影響力を持つ中国の協力が必要不可欠であるとして、出席に固執した。日米両政府はこれに対し、出席には反対こそしないが、それぞれに懸念を伝えていた。

 特に、日本は中韓両国が歴史認識などで連携し、対日批判を強めるようなことは避けてほしいと要望した。韓国の外交筋によると、朴大統領の意向を受け、日米両国の懸念にも配慮、その解消に奔走したという。米国には、米国が望む朝鮮半島の緊張緩和を進める上で、中国の果たす役割の重要性を強調して、理解を求めたという。

クローズアップされる習・朴の蜜月ぶり
日中韓首脳会談で日本はどう動くべきか?

 中韓首脳会談では事前の根回しも功を奏して、終始和やかなうちに、主題であった日中韓首脳会談の開催が内定したという。外交筋によると、中国は8月末までに日中韓首脳会談の開催を「10月半ばから月末頃であれば、対応が可能」との考えを、議長国の韓国に伝え、韓国から日本の外交筋に伝えられ、日中韓3国の間で一気に合意したと聞いているが、正式な公式発表はまだである。

 日中韓首脳会談は、その必要性が以前から強調されながら、具体化への根回しが懸案で再開できずにいたが、朴大統領のこのたびの尽力を以って、3年ぶりに再開され、今後の年次開催の実現へ漕ぎ着けたならば、このたびの式典外交の最大の成果であるといっても、過言ではない。

 本来であれば日本がそのイニシアティブをとり、その役割を果たすべきであったが、日本に代わって朴大統領が果たしてくれたことは、混迷する東アジア外交を仕切り直すための契機となるに違いない。

 ただ、中韓両国の接近、共同歩調が日本に負の影響を及ぼす可能性も少なくない。習主席は中韓首脳会談の冒頭で「中韓両国の人民は日本の植民地化と侵略に抵抗し、民族解放を勝ち取る闘争で団結し、助け合った」と語り、朴大統領に対し、いわゆる歴史共闘を呼びかけている。中韓両国が歴史問題で共同歩調を取るならば、日本との溝を深め、来月にも開催が予定されている日中韓首脳会談の成否にも影響が及ぶ。安倍政権発足後、いまだ実現していない懸案の日韓首脳会談の開催にも影を落としかねないことになる。

 日中韓3国の間では今、FTA(自由貿易協定)交渉が進んでいる。日中韓の3国はお互いに対立点を煽ることなく、相互理解を深め合いながら、アジアの平和と安寧に寄与・貢献するにはどのような協力体制が必要か、英知を結集していくことである。その上で、日中韓3国の間に横たわる溝を埋めていく努力をいかに重ねていくか。この努力の集積こそが、将来世代に対する現代世代の責務である。