渋谷ロフトの男性用化粧品の棚。商品の種類も数も充実している

 さて、一体なぜこのようにニオイ市場が盛り上がってきているのだろうか。横川さんは、猛暑や大雨などの天候の著しい変化で、ニオイに敏感になる人が増えてきていると指摘するが、冒頭の小副川さんは、こんな見解を示す。

「マスコミなどで“スメハラ”が取り上げられることが増え、ニオイの悩みの種類がより細分化されました。特に男性が身だしなみに気を遣うシーンが増えてきているように思います。3、4年前よりも(ニオイに関する)情報に(スマートフォンなどを使うことで)触れやすくなったこともあるかもしれません。

 また、男性は代理購買が多いイメージがありますが、最近では男性化粧品を買っている人の代理購買は2割程度と言うデータもあります。自ら購入する人も増えてきたことから、男性消費者の意識が変わってきたことが大きく影響しているかもしれません」

女性社員の声がきっかけに
グンゼ社員の「ニオイ対策」

 こうしたニオイケアに対する興味関心の高まりは、消費の現場だけにとどまらない。社員の「ニオイ対策」に力を入れる企業も増え始めている。

 インナーウエアなどのアパレル事業等で知られるグンゼは、今年の夏、2つの事業所で「ニオイ対策セミナー」を実施した。対象となったのは、プラスチックフィルムの製造を行う滋賀・守山工場と電子部品の製造を行う京都・亀岡工場で働く社員だ。

 同社では2012年から国内46ヵ所の事業所で、「明るく楽しく元気よく」の頭文字をとったATGプロジェクトを開始した。これは、従業員の団結力を高め、さらに信頼やブランド力向上のために職場の風通しを良くするために、同社・児玉和社長の呼びかけで始まったもの。各事業所で主に女性社員がリーダーとなり、風通しを良くするためにはどうすべきかを話し合い、様々な問題に取り組んできた。そんななかで、以前から議題に上っていたのが工場で働く男性社員のニオイ問題だったという。

「守山と亀岡工場は、もともと弊社のなかでも男性比率がほかの事業所よりも高い職場でした。そんななかで女性社員から『工場とはいえ、(温度管理がなされていて)汗をかくような職場環境ではないのに、一緒に働く男性社員のニオイが気になる…』というクレームが多数寄せられていたんです」(グンゼ広報IR室・渡辺幸代さん)

 そうした経緯から、まずは守山工場が外部にニオイセミナーを依頼。その後、その話を耳にした亀岡工場でものちにセミナーを実施し、約200名がこれまでに参加した。その後、「女性社員からは、『(ニオイが気になっていた)あの人のニオイがしなくなった』という声も寄せられています」(渡辺さん)というから、意識改革の一因にはなっているようだ。