「あの…運転手さん、窓開けてもいいですか?(心の叫び:タクシーの運転手さんがクサイー!)」
夏本番を間近に控え、気温は上昇、空気はジメジメして蒸し暑くなる中、移動のために乗り込んだタクシーの車内が涼しいとホッとする、という人は少なくないだろう。しかし、その密閉された車内に悪臭が立ち込めていたらどうだろうか。きっと清涼感が一気に失われ、不快な気分になるはずだ。当然、指摘などできないから、ニオイを嗅がないよう、移動中は口だけで呼吸していた…なんて人もいるかもしれない。
近年、タクシー会社各社はおもてなしの側面を強めようと、運転技術のみならず、接客にも力を入れ始めている。タクシーはただの移動手段ではなく、快適な空間を提供する場へと変貌しようとしているのだ。そんなタクシー業界で、水面下に隠れ続けていた「ニオイ問題」に先進的に取り組む企業がある。
「車内が臭い」「乗りたくない」
お客様&女性社員からクレームが!
「弊社には『お客さまサービス部』というお客様の声が寄せられる部署があるのですが、お褒めの声と同時に苦情が寄せられることもあります。そこで以前、ニオイの苦情が複数寄せられたのです」
こう語るのは、東京を拠点にタクシーやバスなどの運営を行う国際自動車(kmグループ)の田中慎次取締役だ。実際、同社には、下記のようなクレームが寄せられていた。
「車内が臭い」
「臭いがひどかった。お風呂に入っていないような臭いだった」
同社のタクシードライバーは、多くが隔日勤務。出勤すると、途中休憩をはさむものの、15時間30分実働し続けることになる。車内は、お客様優先の涼しすぎない快適な温度に設定され、ネクタイも必須。夏でも上着を脱ぐことはできない。したがって、いくら冷房が効いているとはいえ、上半身は蒸されている状態だ。