そしてニオイで気になるものといえば、体臭と並んで口臭があるが、この対策には涙ぐましい努力が…。それを語ってくれたのが、同ホテルで販売促進チーフを務める縄手典子さんだ。

「ニオイの強い食材が入っている食べ物は、翌日に勤務がある場合、食べることができません。お酒もニオイが残るほどはたくさん飲むことができません。実は私も以前、勤務日の前日にニオイの強いものを食べて出勤したことがあるんです。その日はお客様の前に出ることはなかったのですが、やはり当時の上司にはすぐに気づかれて、食べないように注意されてしまいましたね」

 ニオイの強い食材、例えばにんにくなどが入ったラーメンや焼肉、餃子などは、食べたくても勤務日前日であれば、避けなければならないようだ。

 同ホテルのような一流ホテルでは、こうしたスタッフの努力と気遣いの一つひとつが顧客の癒しにつながっている。非日常を感じられる空間の背景には、こうした涙ぐましい努力とおもてなしの精神があるわけだが、なかなか私たちが気づかないのにも理由があった。

「私は以前、大先輩から『ホテルマンは役者だ』と言われたことがあるんです。『最初のおもてなしは第一印象。一期一会の場面で最高に演じ切る。恥ずかしくても役者になった気持ちでぴしっとしなさい』と言われてきました。私たちは水鳥なんです。表に出ているときは優雅に。でも裏ではバシャバシャ動いている。つまり、どんなに忙しくともお客様の前では優雅でいるのがホテルマンなんです」(畳谷さん)

 こんな心遣いも感じさせない。それこそが一流のホテルマンの“最高のおもてなし”なのかもしれない。

(ダイヤモンド・オンライン 林恭子)