ただ、大物芸能人が結婚したときの、お相手の女性に対する持ち上げ方が画一的すぎるのは、どうかと思う。まるで、金も地位もある社会的に成功したハイグレード男を落とすためには、男にとっての都合の良い女、いわば「プロ彼女」をめざすべきだとアナウンスしているようだ。しかし、ハイグレード男を狙いたい女性がこうした言説を信じるのは大間違いだ。

 ここからは一般論になるが、僕の経験から言っても、ハイグレード男が恋愛や結婚の対象として女性に求めるものは、料理の上手さでもなければ、控えめな性格でもない。たしかにさまざまな調査を見ると、「結婚したい男性が女性に求める条件」とは圧倒的に「性格」だ。その性格とは、「思いやりがあって穏やかな気質」という意味である。

 また、より具体的な条件としては、「料理が上手い」「子ども好き」「自分を立ててくれる」「癒やし系」などといった回答が常態化している。いわば、「やまとなでしこ」イメージの女性像を、多くの「結婚したい男性」は求めている。これが一般的な男性の意見であることは僕も理解できる。しかし僕が知る限り、ハイグレード男が求めるものはこういうことではない。

料理の腕や、気遣いよりも
妻に求めるべきこと

 僕には、母親と同世代のご高齢のガールフレンドがいるが、彼女は10代の頃、ヨーロッパの貴族が娘を預ける寄宿学校で育っている。そこでは掃除洗濯炊事の類いは一切やらなかったという。「私どもでお預かりしているお嬢様方は、ご結婚なさいましてもご自分で掃除洗濯などなさるご身分の方たちではないと存じます」というわけだ。

 スイスにはいまでも花嫁学校というものがあり、ヨーロッパの花嫁学校とはどのようなものかと興味を持ち、当時高校生だった娘をサマースクールに行かせようと調べたことがある。

 ちなみに日本で花嫁学校というと、料理やお菓子の作り方、マナーなどを学ぶところというイメージがあるが、スイスの花嫁学校はそうではない。学ぶのは英語、フランス語、そして経営学やファイナンス理論だ。この学校に来るお嬢様方が将来嫁ぐであろう男性は、家業を継ぎ家の財産を守ることが仕事なので、妻に求めるものも料理の腕ではなく、ビジネススキルなのである。

 欧米のオールドマネーや、アラブの富豪とまでは言わなくても、さまざまな分野で活躍している一線級のビジネスマンやクリエイターも、恋愛や結婚に求めるものは料理の上手さや優しい気遣いではない。