温泉が恋しい季節がやって来ました。「今シーズンは、どこへ行こうか」と思案されている方も多いでしょう。そこで、「最近5年間に宿泊した温泉宿で最も満足したのはどこか」、「最も不満に感じたのはどこか」などの設問による温泉利用者3492人のアンケート調査を基に、「ベスト温泉宿100」をランキングしました。

「ベスト温泉宿100」の中のベスト10は、以下の表の通り(ランキング作成方法については本稿末をご参照ください)。

 栄えある1位に輝いたのは、岐阜県・下呂温泉の「水明館」だ。

 水明館の魅力は何といっても風呂。アンケートでも、良かった理由の最多回答は風呂だ。天下の三名泉の一つ、下呂温泉の湯を満喫できる。滑らかな肌触りのアルカリ性単純温泉で、リウマチや神経症、病後の回復に効果がある。

下呂温泉・水明館は「温泉街に出なくても館内で湯巡りが楽しめる」と女将の滝景子さんが誇る浴場の1つ、「下留の湯」はヒノキの香りがかぐわしい

 水明館には3種の大浴場がある。天井、壁、柱にヒノキを使った「下留の湯」では、その心地よい香りに心身共に癒やされる。

 「野天風呂」は飛騨の山間から吹く風が爽快で、長時間漬かっていたくなる。「展望大浴場」は24時間利用でき、朝夕の街の変化を一望できる。どれも趣が異なり、それぞれに良さがある。

 食事もまた、飛騨牛の鉄板焼きにホオ葉焼き、近隣で採れる山菜の天ぷら、フランス料理など選択の幅が広い。病気療養などで長期間泊まる客もいて、「のんびりと、そして飽きずに連泊できるサービスを心掛けている」(女将の滝景子さん)。

 僅差での2位は、石川県・和倉温泉の「加賀屋」。良かった理由が示す通り、サービスの良さが高評価。「小さな気配り、心配りを基本にしたおもてなしを大切にする」(加賀屋)という不断の努力が高い顧客満足度を実現している。

 加賀屋専属の歌劇団が、ラインダンスや日舞などのショーを開催したり(観劇は有料)、各種芸能の催しがあったりなど、館内のエンターテインメントにも注力。大浴場は海側に配し、夕焼けに映える七尾湾など雄大な眺めが楽しめる。ソフトとハードがバランスよく充実している。

棚田状に広がる露天
高台にある正真正銘の絶景

 3位は大分県・観海寺温泉の「杉乃井ホテル」。別府八湯の温泉の一つで別府市内を見下ろす高台にある。

 その地の利を存分に生かしたのが大露天風呂「棚湯」。5段から成る湯船が棚田状に広がっており、別府湾や別府市内はもちろん、四国の佐田岬まで望める。視界を遮るものがなく、正真正銘の絶景だ。棚湯から見る夜景や日の出を目当てに宿泊する人も多い。

 温泉の湧出量も豊富で、棚湯のほか、宿泊者専用の大浴場「みどり湯」や水着着用の野外型温泉施設「ザ・アクアガーデン」があり、宿泊客のさまざまなニーズに応える。