紅葉から雪景色へ移る温泉シーズン、到来!「どこへ行こうか」と思案中の方も多いでしょう。そこで、温泉の利用者3492人のアンケート回答を基に、温泉のベスト100をランキングしました。上位に並んだ日本を代表する名湯の特徴を、周辺観光地や地域文化を交えて紹介していきましょう。
「温泉ベスト100」の中のベスト10は、下記の表の通りだ(ランキングの作成方法については本稿末をご参照ください)。
ランキング1位には、老若男女の幅広い層の支持を集めた「箱根温泉郷」が輝いた。
箱根温泉郷は、箱根湯本、宮ノ下、強羅など20の温泉地から構成され、シンプルな単純温泉からミルク色に白濁した硫黄泉まで楽しめる。宿泊施設も、家族向け大型ホテルから熟年カップル向け高級旅館まで、多様なニーズに応える歴史の厚みがある。
箱根は観光スポットや見どころも充実している。箱根神社や大涌谷など定番の観光スポットのほか、彫刻の森美術館やガラスの森美術館などアートスポットも多様だ。
芦ノ湖、富士山など絶景ポイントも多く、6月からはアジサイ、9~10月は仙石原のススキ草原、11月からは紅葉というように、四季折々の表情が見られる。現在は箱根山の噴火警戒レベルが引き上げられ、一部地域で立ち入りが規制されているが、箱根の観光地としての魅力は尽きない。
2位の「草津温泉」は、圧倒的な“温泉力”を誇る。自然湧出量は日本一で、1日にドラム缶23万本以上もの湯が湧き出しているという。それ故、温泉施設はどこも基本的に源泉かけ流しで、湯を使い回すことはない。
泉質は、pH2前後の強酸性(pH6以上7.5未満が中性でそれより下は酸性、上はアルカリ性)。湯に漬かると、ピリリと肌を刺すような刺激が走る。水虫などのちょっとした皮膚疾患はすぐに治るといわれるほどだ。温泉の量だけでなく質も高いのだ。
源泉を木製の樋に流して温泉の成分を採取したり湯温を調節したりする湯畑を中心に、宿や入浴施設、土産物店、飲食店などが立ち並ぶ温泉街は、小1時間程度散策するには最適なサイズ。もくもくと湯煙の上がる湯畑周辺は温泉風情に溢れ、夜のライトアップも幻想的だ。
草津温泉の帰りには、同じく群馬県にある沢渡温泉に立ち寄るのがお薦め。美肌効果があるとされる沢渡温泉は、草津温泉の強酸性の湯で荒れた肌を整える「草津温泉の仕上げ湯」としても知られる。
むし湯、砂湯、地獄蒸し
温泉文化も楽しい別府
3位にランクインした「由布院温泉」は、特に女性の支持を集めている温泉地。食事や温泉風情に長けた大人の宿が多いのが特徴で、中でも“ご三家”と称される「由布院玉の湯」「亀の井別荘」「山荘無量塔」といった高級旅館は、予約が取りづらいほどの人気である。
多くの人気ショップや飲食店が並ぶ湯の坪街道は観光地化が進み、週末になると多くの観光客でごった返すが、少し道をそれると、のどかな田園風景など素朴な温泉地の風景が広がる。こうした動と静の二面性を備えている点も、アンケート調査ではマイナス評価が少ないという結果につながっているのかもしれない。