ラグビー日本代表「エディー・ジャパン」の世界挑戦が終わった。

 ラグビーW杯では28年間、7大会にわたり24戦して1勝しかできなかった日本代表が、今大会は3勝1敗という堂々たる成績を残した。

 プールBの初戦は世界一2度の南アフリカを破り、奇跡を起こしたと世界中を驚かせた。第2戦のスコットランド戦は中3日というハードスケジュールの影響もあって落としたが、第3戦は難敵サモアを圧倒し、南アフリカ戦の勝利がフロックではないことを示した。

最後のアメリカ戦でも見せた
日本ラグビー進化の証

 そして迎えた第4戦。対戦相手のアメリカは、ここまで0勝3敗だ。驚異的な成長を遂げ、2勝1敗の成績を残している日本にとっては与しやすい相手という見方もあったが、W杯の戦いはそう簡単なものではない。

 過去のW杯で日本はアメリカに2戦2敗。アメリカは実績では日本より上だし、スポーツ大国代表のプライドもある。1勝もできずに帰ることはできないという思いがあり、4日前に行われた南アフリカ戦は主力を温存。1戦を捨てて、勝つ可能性のある日本戦に必勝を期して臨んだわけだ。そして実際、第3戦までの成績からは推し量れない緊張感のある厳しい戦いになった。

 しかし、この難しい試合でもエディー・ジャパンは確実にレベルアップしている姿を見せた。その象徴が前半の2つのトライシーンだ。0-3とリードされた6分過ぎに取ったトライは右サイドの密集から出たボールを左サイドに大きく展開し、ウイングの松島幸太郎が飛び込んだものだが、ラストパスを送ったのはフッカーの堀江翔太。昔から日本のラグビーを見てきたファンは「なんでFW第一列の選手が攻撃ライン(それも左サイドの隅っこ)に参加していて、パスを放っているの?」と驚いただろう。FWの選手は右サイドの密集戦に参加していて当然という思い込みがあるからだ。また、送ったパスも難易度の高いクイックパス。クイックだからこそ相手ディフェンスがついていけず、松島が飛び込めたわけだが、そんなファインプレーをFWが平然とやってのけたのである。

 7-8と逆転された後、27分過ぎに取ったトライも同様の驚きがあった。トライを決めたのは初出場の藤田慶和。モールという密集戦の中にいて、相手の隙を衝いてトライしたのだが藤田はBK、それもスピードを武器に突破を図る役割のウイングの選手だ。そのBKが躊躇なく押し合いへし合いのモールに参加して、トライをとったのだ。