日本で20年以上続いた
バランスシート調整
次の図表1は、日米欧と中国の民間債務のGDP比率の推移である。
筆者はこの図表を1990年代後半から約20年近く用いてきた。その理由は、実際に日本企業の債務調整に従事してきた実務家の立場から、日本のバブル崩壊後のバランスシート調整の目安を考えることにあった。
同様に、この図表を用いて2007年から始まる欧米のバランスシート調整の議論も2000年代後半から行ってきた。そこでは、2007年から始まる欧米のバランスシート調整を、日本に類似した側面を持つ「日本化」として表現したことも多かった。
現時点での認識は、日本は1990年から始まった調整は四半世紀を経て債務水準から見て調整の目途が付いているものの、その間にマインドの下方屈折が生じたというものである。米国も調整に目途を付け、いち早く出口を検討する状況がFRBの利上げ論として議論されだしている。
今回この図表を久しぶりに用いたのは、新たなバランスシート調整が、今度は中国で生じているのではないかとの問題意識からである。中国でもバランスシート調整の状況にあるとすれば、それは中国の「日本化」である。
◆図表1:日米欧と中国の民間債務GDP対比推移