今回の危機は中国発の「レッドマンデー」
リーマンショックよりは軽微だが……
8月24日月曜日の中国発の世界的な株価下落は、多くの欧米メディアでは「ブラックマンデー」として伝えられた。ただし、今回、中国発であるとすれば、むしろ「レッドマンデー」と言ってもいいだろう。
そもそも「ブラックマンデー」とは今から28年前、1987年10月19日の月曜日に生じた米国発の世界的株安だった。当時、筆者はディーリングルームで直に危機を体験したが、株価ボードで全く値がつかない状態を目の当たりにして茫然としていたことを思い出す。
1987年ブラックマンデーのあと、各国金融当局が大量の資金を市場に投じる政策協調によって市場は沈静化し、株式市場は比較的早期に改善した。本論の問題意識としては、今回の調整は1987年ブラックマンデーよりも深刻度は重い。何となれば、今回は中国の減速という実体経済不安も含むだけに、1987年ブラックマンデーのように金融市場だけの調整よりも重い可能性がある。
しかし、そもそも欧米先進国そのもののバランスシート調整によって生じたショック、たとえば2008年のリーマンショックに比べれば、まだ軽微と見るべきだ。今回の世界的株安は、基本的にこれまで生じたリスクマネーの巻き戻し、「金利水没」にまで至る世界的な超金融緩和からの揺り戻しと見るべきだというのが、現段階での認識だ。
従って、1987年ブラックマンデーの時のように、各国の政策協調に伴う金融緩和の姿勢が次第に明らかになれば、時間をかけつつも再び市場は安定を取り戻すと展望する。ただし、「端境期」として新たな低成長時代への備えも必要だ。