8月の中国株下落を予言し、運用する資産の損失を回避させた運用上手な男が香港にいる。ダイヤモンドQ編集部が香港での取材を敢行した。しかし日本から彼に資産運用を任せようとしても、実は簡単なことではない。
「市場を常にウオッチしているリサーチチームとの議論を重ねる中で、香港A株(中国株)の下落を確信した。6月半ばから株式を売却し、資産を全て現金に移行させたため、今回の世界的な同時株安を回避できた」
世界の金融センターである香港。海沿いの大型複合施設・ハーバーシティにあるオフィスで、リッキー・ガン氏は落ち着いた口調でそう話した。独立系投資顧問会社を営んでいるテンガードグループのCEO(最高経営責任者)だ。「中国株下落を予言した男」として、8月には中国メディアで何度も取り上げられた。
ガン氏の長期投資ポートフォリオの運用状況は非常に好調だ。運用開始から11年間強の増加率は200%強、つまり11年前に100万円を投資していれば現在は300万円を超えているということだ(2012年以前は、別の会社にいたときの運用状況)。主な指標である日経平均株価インデックスやMSCI世界株インデックスを大きく上回る成績だ。12年に現在のテンガードを設立してからの運用成績も、年率11・23%と世界平均株式インデックスを上回っている。
実は、ガン氏が株の暴落を当てたのはこれが初めてではない。08年のリーマンショックも予言。株式を売却し、キャッシュファンドへスイッチング。さらに株価が底を打ったところで再び購入している。
「われわれは長期安定運用を基本としている。そのためレバレッジはかけず、投資対象も香港で認可された株式や商品を基本としている。下げ相場などのリスクをきちんと管理できれば、年率10~15%を目指せるはずだ」
ガン氏はそう力強く話す。
テンガードは香港で投資顧問会社を運営するのに必要な全ての免許を取得。商品の販売は香港内に限られるため、わざわざ世界中から投資家が香港まで購入しにやって来るのだ。