ギリシャ危機などを受け、ユーロ安が止まりません。
有力格付け会社がギリシャ国債に「投資不適格」の烙印を押したことによって、ギリシャの財政問題は、いよいよ悲観論一色の様相となってきました。
では、ギリシャやユーロに「救い」がまったくないのかと言えば、必ずしもそうではないようです。
「投資不適格」といった、いわゆる「止め」を刺されるまでになったギリシャ問題について、その焦点は、慎重派を巻き込んだ有効な救済策がまとまるか否かでした。
ただ、この件については、一気に「止め」を刺されるようになったことで、さすがに前進しそうになりました。慎重派の代表格であるドイツが、ギリシャ救済に動かざるを得なくなってきたからです。
ドイツなどがギリシャ救済に慎重になっていた理由は、自分たちには直接関係ないと「他人事」のように割り切れたからだったと思います。
ところが、そういった状況は、さすがにここに来て大きく変わり始めました。
欧州全体の信用不安を図る目安の1つに、「欧州CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)指数」があります。
この指数は、今年に入ってギリシャの財政危機が表面化した直後に急騰しましたが、2月前半には早々にピークアウトし、その後は比較的安定した状況が続いていました。
一方で、ギリシャ国債の価格自体は3~4月と続落(利回りは続伸)し、ギリシャの財政問題は悪化が続いていました。
しかし、前述のように、欧州全体の信用不安が連れて悪化し続けたわけではなかったので、ギリシャ問題は自分には影響せず「他人事」だからと、ドイツなどの「慎重派」は、救済に慎重になれたのではないでしょうか?
ただ、そういった構図は、4月下旬になって変わりました。
ギリシャ国債が「投資不適格」の烙印を押された4月27日(火)、「欧州CDS指数」も急騰し、年初来高値を一気に更新したのです。
「ギリシャ不安=欧州不安」が再燃し、ドイツにも「火の粉」が降りかかるようになったことで、ギリシャ問題が「他人事」ではなくなったのでしょう。
ユーロ売りか、それとも「米利上げ期待のドル買い」か
このように、欧州内の慎重派も歩み寄って、ギリシャ救済が実行されようとしていますが、それでもギリシャは救われないのでしょうか?
そうだとしたら、「止め」を刺される以前にギリシャ救済を巡って一喜一憂していたことが、まったくの茶番に過ぎなかったということになってしまいます。
もし、まったくの「茶番」でなかったならば、ギリシャ救済の実行は、ギリシャ問題で一息つけるくらいの効果はあるでしょう。
では、ギリシャ問題が一息つくようなら、ユーロは反発に向かうのでしょうか?