学業への支障を小さくするための
ルール改定だったはずだが…

 学生の立場からすると、第一志望ではない会社の内々定を確保しながら、もっと条件の良い会社の内定を取ることができるならそちらに行こう、という行動が合理的になる場合が多いし、実際にそのような戦略を組む学生が少なくなかった(入試に例えれば、滑り止め校の受験日・発表日が第一志望校の前にあり、入試の季節が何ヵ月もあると考えると分かりやすい)。

 企業は内々定者を確保するために、「今後の就職活動を止めるなら、内々定を出してやる」といった圧力をかけるケースもあって、内々定を出す側・もらう側が過剰な精神的駆け引きに巻き込まれた。

 学業に対する支障を小さくすることを目指したルール改定だったはずだが、ある私立大学で筆者が担当している授業では、4月から始まる春学期全体を通して、説明会や面接を理由とする欠席が多数あった。

 ついでに言うと、正式な内定の解禁日である10月1日は、多くの会社が「内定式」を行ったため、4年生の多くが欠席した。相手は学生で、その日は授業のある平日なのだから、内定式はせめて夜間に行うのが見識というものだろう。

 もともと、企業側が学業を本当に大切にするなら、採用に関わる諸々の活動は、休日・休暇期間ないし、授業時間と重ならない夜間に行うのが常識だろう。しかし、企業側は大学に対して、入試による学生の選別を参考にするものの、教育内容にはほとんど期待していないことが見事に分かる。正直でかつ失礼な採用活動である。

 なお、旧スケジュールにあって、採用活動を後ろ倒しすることが、どんな意味で学業の邪魔を減らすと考えたのか、大学側の意図はよく分からない。

 就職内定が早く決まってしまうと、学生の勉強に対するモチベーションが低下する傾向があるのは事実だが、学生が来なくなるのは、大学に魅力がないからであって、就活スケジュールに文句を言うのはお門違いだ。