彼らには、セブンと真正面から戦う気はありません。しょせんセブンと同じような規模の戦いをやっても、高い坪効率を得られるはずがないのだから。それよりも、町や村に一軒しかない万屋(よろづや)を目指して、地元民の信頼をしっかり掴むことに尽力しています。これは、外から来た大手にはマネができない地域密着型のビジネスモデル。だから大手コンビニは、北海道でのみトップシェアをとることができないのです。これも、王者のアキレス腱を突き、相手が出てこないようにするうまい戦い方です。

 このように、ニッチを狙う戦い方をすると、時として大手が得られない強い固定ファンを掴むことができます。自動車業界では、富士重工業などがよい例でしょう。彼らはトヨタ自動車に対抗しようとは思っていません。悪路を走れる四輪駆動車に注力し、看板車種である「スバル」は米国市場で大人気を博しています。

 さらに、米国内でも販売に力を入れている地域は、雪が降って道が凍結し易く四輪駆動車のニーズが多い北部であり、温暖な南部の市場をかつては捨てていました。ちなみに現在では、安全を売り物にしているために、南部でも売れているそうです。

 こうしたニッチ戦略をとるスバルには、「スバリスト」と呼ばれる強力な固定ファンがたくさんいます。彼らはスバルがモデルチェンジされる度に、他の車には目もくれずにスバルを買い替えるという、上得意客です。もっと言えば、スバルのようにコアなファンを持つ車は、むしろ広く一般に売れ始めると勢いを失う可能性が高い。にわかファンは思い入れが薄いぶん、景気が悪くなると買うのをやめてしまうからです。まさにニッチ戦略こその強みと言えます。

経営者の哲学が強い競争戦略をつくる
あなたの会社は市場で勝ち残れるか?

 いかがでしょうか。業界で二番手、三番手の企業は、「いつかはトップを取りたい」と業界トップの経営を模倣してしまいがちですが、それは業界が成長局面にあるときはいいとしても、成熟や衰退の局面では通用しません。ある意味ニッチな市場を狙うことが、弱い者が強い者に伍すための賢い競争戦略と言えます。

 ただし、乾坤一滴で真正面から業界のガリバーに勝負をかけるか、それとも身の丈に合った地道な戦略をとるかは、どちらがよいとも悪いとも言えません。また、投資家、取引先、顧客から見て、どちらの戦略をとる企業がより価値が高いのかということも、一概には言えません。競争戦略の策定は、経営者の哲学と深く関わってきます。経営者の哲学がしっかりしている企業には、独自の「勝ちパターン」を持っているところが多いと思います。

 あなたの会社は自社ならではの「勝ちパターン」を持っているでしょうか。次回以降、強い競争戦略の中身を、さらに詳しく分析して行きましょう。