新電力自由化は
すごいビジネスチャンス!

吉原 一般家庭では、積水ハウスなど、エネルギーゼロ住宅がいっぱい出てきています。世田谷、川崎では水素スマートシティ構想があります。

 トヨタやホンダの開発した水素自動車は、生産が追いつかず、大人気です。
 水素が主役になれば、太陽光や風力も水素に転換して保存流通できるので、自然エネルギー100%でも安定的な電力提供ができる。

「ブルータワー」といって、森林バイオマスから水素をつくるプラントもすでに稼働しています。水素から都市ガスもつくれます。ドイツでは自然エネルギー比率を2050年に80%まで引き上げる構想もあります。

 ただちに原発をやめれば、いろいろなビジネスがどんどん生まれてきて、すごいビジネスチャンスだと思います。

広瀬 東京・品川のマンションでも、電気とお湯を生み出す全戸エネファーム(燃料電池)つきのタイプが売り出されていますから、電力会社離れが進んでいます。

 電力会社への依存度が下がれば、自然と原発ゼロに向かって社会は動くでしょう。吉原さんは、中小企業の方と手を組んで、色々なイベントもしてきましたから、このエネルギー革命を実現できますね。

吉原 どうせ生きていくのであれば、子どもたちの未来につながる生き方をしていきたいというのは自然の感情です。そういうものを大切にしていきたい。
一部の人が利権で主導するのではなく、みんなが健全だと思う社会を底辺からつくっていきたいです。

 大企業の経営者、ビジネスマンの方々に言いたいのは、あなた方は、子どもたちに誇れるような立派な仕事をしたくありませんか、ということです。
 東芝でも日立でも、テレビのCMで「自然エネルギーで環境をよくしている企業」というPRをしていますが、「原発を推進している」ことはPRしていません。

 それほど「原発は後ろめたい事業」なのでしょう。それなら会社の方針を転換して、原発から撤退し、自分たちが誇りを持てる企業、子どもたちが笑顔で暮らせる未来をつくる企業、そして日本を代表する立派な企業になってください。

広瀬 吉原さんの主張は、金融の元締めで、なおかつ実績をあげてきたから、とても説得力があります。あとひと息です。百万の味方を得た気分です。原発ゼロで日本経済を再生しましょう!

吉原 11月4日(水)には城南信用金庫本店で、細川護煕さんがやっている自然エネルギー推進会議と共催で、小泉元総理、香山リカさん、ロバート・キャンベルさん、河合弘之弁護士と、自然エネルギーシンポジウムを行い、大変盛り上がりました。

 お客様である中小企業の方々による自然エネルギー事業の事例発表と『日本と原発』の映画上映。そういう形で、あちこちで活動を展開して、気焔をあげていこうと思います。みなで一緒に、世の中を変えてゆきましょう。

3人の元総理は、<br />なぜ「脱原発」に転向したのか?<br />――吉原毅×広瀬隆対談【最終回】

(おわり)