電力会社の地域独占体制を
崩す方法
広瀬 今後は原発反対運動をどう展開しようと考えていますか?
吉原 これから一番大事なのは、電力会社の地域独占体制を崩すことでしょう。電力会社の地方支配力はものすごい。
広瀬 確かにすべての経済を握っていますからね。電力会社は就職の斡旋までやる。
吉原 お祭りのときの奉納金、議員には盆暮れに商品券、土建業や旅館業には利幅の大きな仕事、高校生には就職の斡旋……。
でも、2016年4月1日に電力が自由化されますから、一部の人間がおかしな使い方をすることはできなくなります。そのために私たちは、新しい電力会社とタイアップして拡販を推進していこうと考えています。また、自然エネルギー事業を多くの国民の方々に拡めることです。
その1つがソーラーシェアリングです。
農地に支柱を立てて太陽光パネルを設置します。耕作しながら発電も行います。農業をしながら電気を生む。これが一番採算性もあり、成功する可能性があるのです。
もし日本のすべての農地に設置すると、原発700基分の発電力になります。1割の農地でも70基分です。
広瀬 農地の上にソーラーパネルをつけると、日よけをつけたことになり、収量は下がりませんか?
吉原 実際やってみると、なんと逆に増産になりました。
農林水産省から、日よけをつけても、「80%程度の出来高が設置の条件」と言われていましたが、実際には120~150%の作物ができました。
植物は一定の光飽和点を超えると光合成を止めてしまいます。また、太陽熱から身を守るために水分を蒸散して自らを冷却します。
その結果、光合成に使う水がなくなり、夏場はある程度日よけをかけたほうが植物はよく育ち、農家にとっては食料増産につながる。しかも売電収入で現金収入が10倍になります。こんなうまい話はありません。
広瀬 設置コストはどのくらいかかりますか?
吉原 ソーラーパネルを設置する際の最大のコストは整地費用です。したがって、山を削ったり、コンクリートを打ったりすると大変です。
しかし、ソーラーシェアリングの場合、もともと整地されている農地の上に設置します。農地の上に立てる支柱、その上に載せる太陽光パネルも、キットを買えば自分で簡単に作れます。コンクリートも使いません。ですからコストは極めて安いのです。
まして農家は毎日農地を見ていますから、そのときにソーラーパネルの角度調整や、ちょっとしたメンテナンスはできます。
これを推進することで農家の力がアップします。若い人たちが後継者として帰ってくる。地域の活性化、耕作放棄地の復活、TPP対策にもなります。そして、個々の農家が売電するのですから、原発は農家の邪魔になります。
結果として、原発反対の大きな力となると思うのです。