「目玉なし」の東京モーターショーで感じた激変の予感プレスデー2日目の朝8時から1時間半、自動車メーカートップが参加したMobility scape 2015。トヨタの豊田章男社長が積極的に発言した Photo by Kenji Momota

自動車メーカートップたちも認めた
クルマは変化の時代の真っ只中

「目玉がない」

 2015年10月29日、一般公開を前に報道陣向けに公開された東京モーターショー(一般公開:2015年10月30日~11月8日)の現場を見た多くの自動車業界関係者がそう口にした。

 同日の報道陣入場者数は前回の6300人から7200人へと増加したにもかかわらず、業界関係者の多くが展示会場を冷静な目で見つめた。

 その後、一般公開日に実施したショー主催者による特別企画「自動車ジャーナリストと巡る東京モーターショー」の参加者からも「正直、目立つクルマはあまりない」という声が挙がった。

 流行の自動運転、2014年に国の政策として大きく打ち出した水素社会・燃料電池車、そしてリチウムイオン二次電池の技術進化により1回の充電での航続距離が伸びて実用性が増した電気自動車等、最新の技術展示はそこそこあるのだが「これといった目玉」がない。

 また、第4次産業革命とも言われる一大トレンド「IoT」(Internet of Things、モノのインターネット)に関しても、西館3・4ホールの展示スペース「スマートモビリティシティ」での紹介があるが、IoTという概念をクルマと結びつけて提示することは難しく、2年前に開催された前回の東京モーターショーと同じく、展示の中心は小型EVの超小型モビリティ等のハードウエアの体験試乗だった。IoTのなかでのクルマの位置づけを理解させる「これ!」というキレが感じられない。

 10月30日の朝8時過ぎには、東京モーターショー開催場の東京ビックサイト会議棟7階の国際会議場で「Mobility scape 2015」が行われた。これは、日本自動車工業会の会長で本田技研工業の代表取締役会長の池史彦氏、さらに4人の副会長としてトヨタ自動車代表取締役社長・豊田章男氏、日産自動車の代表取締役CCO兼副会長の西川廣人氏、三菱自動車工業の代表取締役兼COOの相川哲郎氏、そしてマツダの代表取締役社長の小飼雅道氏が参加した約1時間半のパネルディスカッションだ。

「目玉なし」の東京モーターショーで感じた激変の予感プレスデー初日の一発目、次期ロータリーエンジンのコンセプトモデル登場で大いに沸くマツダブース。小飼雅道社長の囲み取材も熱気ムンムン Photo by Kenji Momota

 そのなかで豊田章男社長ら皆が「これからクルマが変わる」と強調。この「変わる」とは、電動化やエネルギーマネージメントの領域だけでなく、コネクテッドカー等のIT産業界との融合を含めた「クルマを含めた生活全体が変わる」ということだ。

 だが、何が、どのように、いつ、どこの誰がステークホルダーとして大きく変わるのかについて各社とも「いまは分からない」と述べるに止めた。