「特別に話し合ったわけではありませんが、それぞれの動きを観察していて、何が得意なのかわかったんです。彼の方が掃除や片づけが上手だなと。お互いにできることをやって、『今日は◯◯を掃除した』『今日はおかずを◯品つくった』と言葉にして、ありがとう、すごいなど、ほめ合う習慣をつくることも、良い関係性をつくるのに寄与しているかもしれません」

妻たちが縛られる「良妻賢母」幻想
をあなたは理解しているか?

 今回、関係性を修復できないくらいに、ハードな争いに至ってしまう夫婦と前出の3組の夫婦で異なるのは、どういった点だろうか。まずは、自分の意思を可能な限り、相手に丁寧に伝えることだろう。

「もし働く女友達同士で同居していたら、自然と察して、2人で家事を回していくでしょう。でも、男性に『察すること』を求めるのは間違いです。妻側が長い間主導権を握って家事・育児をやっていると、男性は『僕が手を出すと迷惑かもしれない』と自然と遠ざかってしまいます」(川崎さん)

 当たり前のことだが、夫婦は他人だ。ましてや脳の仕組みや思考、得意とすることに到るまで、男女間で大きな差があるとされるのは、周知の事実だろう。それなのに女性側が一方的に怒りをためて爆発し、「どうしてわかってくれなかったの?」「見たらわかるでしょう?」と責め立てるのは、決して生産的なことではない。

 しかし、イライラをぶつける妻に対し、男性諸氏が「一方的に責めないでほしい」「今そうやって怒っても、何の発展性もない」とやり返しても、火に油を注ぐだけだ。まずは、妻がなぜ怒りを溜め込んでしまったのか、日頃の妻の様子や妻との会話を振り返りながら、考えてみてほしい。もしかすると、妻はサインを出していたのかもしれないが、女性よりは「鈍感」と言われるのが男性だ。それに気づけないことも少なくない。

 では、なぜ妻は爆発するまでの間、我慢しながら家事・育児を主体的に担ってきたのか。それはひとえに「良き妻であるべきだ」といった良妻賢母幻想に囚われていることが大きいだろう。

 メディアでは、アスリートの夫を献身的にサポートする妻が「理想の妻」像として持ち上げられがちだ。「妻は夫を支えてナンボ」といった風潮は今もなお存在していることから、妻たちがそれらの「イメージ」を無意識のうちに刷り込まれている可能性は十分にある。